SEという職業はブラックであるというのが世間一般の認識です。では何をもっていしてブラックと言われているのか?
その理由のひとつが時間外業務についてでしょう。残業や深夜残業。

という疑問もあるとは思います。これについては経済産業省や厚生労働省が統計を取っていますので、本記事で紹介しながら解説していきます。
そして、10年以上SEをやってきたわたしが実体験も交えて、残業の多い少ない、多くなる理由を書かせていただきます。

SEの残業時間は多いのか少ないのか?平気的な残業時間はどれぐらい?
SEの平均的な残業時間は?
まず最初に、SEの平気敵な残業時間について書かせていただきます。これについては経済産業省が統計を取っています。
経済産業省の統計結果によると、SEの1ヶ月あたりの残業時間は下記のようになっています。
20代 | 25.3時間 |
30代 | 29.5時間 |
40代 | 29.5時間 |
50代 | 26.7時間 |
参考:IT関連産業の給与等に関する 実態調査結果 - 経済産業省
ここではわかりやすくするためにざっくりと、SEの1ヶ月あたりの残業時間は25時間~30時間程度としておきます。
1ヶ月あたり実働20日とすると、1日あたりの残業時間は1.25時間~1.5時間となります。
SEの残業は世間一般で見て多いのか?少ないのか?
経済産業省の統計より、SEの残業時間は平均して1.25時間~1.5時間であるということがわかりました。ではこれは世間一般の職業と比較して残業時間は多いのでしょうか?
厚生労働省の統計データに『毎月勤労統計結果』というものがあります。そこに所得外労働時間というものがあり、残業時間に相当するようです。
調べてみた結果、

ということがわかりました。ここではわかりやすくするために、ざっくりと15時間としましょう。
1ヶ月あたり実働20日とすると、一般的な残業時間は1日あたりの残業時間は0.75時間となります。
SEの残業時間とその他の一般的なお仕事との残業時間を比較すると、SEのほうが約0.5時間~0.8時間ほど1日あたりの残業時間が多いということになります。
この結果より、たしかにSEのほうが残業時間は多いということはわかりますが、その差は1時間未満であり、特別残業が多いとは言えないことがわかります。

わたしの実体験から語るSEの残業時間、実体について
経済産業省、厚生労働省のデータはあくまでも統計です。実際の現場では偏りがあります。たとえば、A社では残業がゼロだけども、B社では毎月50時間残業をしている、など。

という結果なだけかもしれません。なので、わたしの実体験としての残業についても触れてみます。
SEはブラックと言われるほど残業は多くない
SEはブラックだと言われますが、そこまで言われるほど残業時間は多くはないです。つまり、経済産業省、厚生労働省の統計結果はわりと正しいということです。
実際に、現在わたしが勤めている企業では基本的には残業ゼロです。ですが、月末など、製品のリリースが近い時に不具合などが見つかった場合には残業が増えることはあります。
残業が増えたとしても最近では40時間を超えるようなことはありません。多くても残業は30時間台です。
SEの実体験としての残業時間は、0時間~30時間程度、これぐらいが目安でしょう。

と思われるかもしれませんが、これには理由があります。SEの残業というのは計画的に残業するものではなく、不具合などの理由で突発的に発生するものだからです。
残業が多くなる企業は特定の企業に限定される
また、残業が多くなってしまうのには企業が関係します。SEがブラックなのではありません。企業がブラックなだけです。
請負業務や客先常駐がメインであるSIerなどは利益率が低いため、どうしても人件費削減に走ってしまいます。その結果、
- 給料が低い。
- 優秀な人材を集めることができない。
- 企業の希望に見合うスキルを持っていない人が仕事をする。
- ミス・バグが多く発生し、残業が増える。
- 利益率の低い企業は残業代カットもありえる。
ちなみに、わたしは以前客先常駐のSEとしてたくさんの企業に派遣されていました。上述したように利益率が低く、いつも会社の経営は危うかったです。そのため、残業代カットといった措置も取られたことがあります。
逆に、メーカーやweb系など、自社製品・自社サービスを開発する企業であればそこまで残業は多くありません。わたしもいくつかの企業を派遣SEとして回ってきましたが、基本的に残業ゼロベースでした。もちろん残業代カットなんてものは1社たりともありません。
残業代カットなどという違法行為をする企業は今どき少ない
そもそも今どきのIT業界で残業代カットなんていうものはほとんどないはずです。実際にわたしも、以前わたしが勤めていた会社以外では聞いたことがありませんでした。
残業代カットというのは違法行為です。万が一告発などされれば、企業は存続不可能になります。
また、SEという職業は利益率が高い職業です。なぜなら、ソフトウェア開発には人件費以外の費用がほとんど発生しないからです。
1人の人間がなにもないところから製品を作ることができる。これがSE、ソフトウェア開発業務の強みです。
利益率が高い仕事ですので、残業代をカットしなければならないほど追い詰められている企業であれば、相当不健全な会社ですので転職してしまったほうが良いでしょう。
納期間近など、残業が必要になるケースはある
SEは言うほど残業が多いわけではないということはわかっていただけたかと思いますが、残業が必要となるケースはよくあります。
それは製品の納品間近のタイミングなどです。
実は、ほとんどのSEは日程を正しく守るということができていません。
計画した日程に対して進捗がずるずると遅れていく…。そんな日程遅延はどうやって回収するのか?その答えが残業です。
SEにとって納期を守るというのは高いスキルを習得するとか、そんなことよりももっと重要なものです。なんとしてでも納期を死守しなければならないのがSEであり、一番つらいところです。
毎日平均1~2時間、ではなく、月末のみ毎日4時間残業、というパターンが多い
わたしは今も昔も、製品リリース間近はいつだって残業しています。毎日22時に退社ということもよくあることです。

すべて計画通りに進められれば残業なんてずっとゼロなんですけどね。まぁそれができないのがSE。自分は絶対正しい、間違ってないと思っていてもバグが出て急遽残業して修正するってことがあるものです。
特別、残業が多い人もいる
残業の多い少ないは会社や業務形態によると書きましたが、さらに言うと人によっても変わってきます。
- 仕事ができず、不具合ばかりだしてしまう人
- 残業をたくさんすることが、たくさん仕事をしているという考えを持った人
- 残業で稼ごうとする人
上記のような人は残業が多いです。
まず、仕事ができない人、不具合をたくさん出してしまう人。厳しい言い方ですがこういう方はこの先もずっと残業は多いままでしょう。SEの仕事は高度なスキルが要求されるため、ある程度のセンスが必要です。SEを続けていてもつらいだけですので転職も考えたほうが良いかもしれません。
そしても問題なのが残業をたくさんする人こそ仕事をしている人と思い込んでいるタイプ。このようなタイプはたいして仕事ができないのに必要もない残業ばかりしています。

などと、あたかも自分は仕事ができる人アピールをします。しかし、本当に仕事ができる人は残業がほぼゼロです。残業で給料を上げるのではなく、評価を高めて給料のベースを上げることに専念します。
そして最後に、残業で稼ぐ人の話。SEはたしかに残業が多めの職業です。会社によっては月平均残業時間が40時間~60時間を超えるところもあるでしょう。
わたしの今の会社でも、プロジェクトによっては残業時間が毎月60時間近くになっているところもあります。(永遠に続くわけではありませんが)

そういうイメージを持つ人もいます。実際にわたしもそのようなイメージを持っています。SEは残業が多いから給料が良いという面もあります。
そして、SEという職業は利益率が良いため、多少『空残業(からざんぎょう:残業する必要がないのに定時後も会社に残って残業代を稼ぐ)』をする人もいます。


まとめ
- 経済産業省によるとSEの月平均残業時間は25時間~30時間程度。
- 厚生労働省によると一般的な会社員の月平均残業時間は15時間程度。
- SEと一般職、1ヶ月あたりの残業時間の差は10時間~15時間。
- 1日あたりの残業時間の差は0.5~0.8時間。
- 以上の結果より、SEは特別残業が多いとは言えない。
- ただし、残業は偏る。残業が多い会社、少ない会社に分かれるイメージ。
- また、SEの仕事は毎日分割して残業するわけではない。
- 月初めは残業ゼロでも、月末に向かって残業が増えていくイメージ。
- 残業が多くなる理由に、残業の必要がない人も残業していたりするというのもある。
いかがでしょうか。SEは言うほど残業は多くはなく、ブラックではないということはわかっていただけたかと思います。
企業に依存するということです。SEそのものがブラックなわけではないのです。
ですが、個人が保有するスキルによっても残業時間の多い少ないが変わってきます。プログラミングができない、できるんだけどもバグを多く出してしまうという人はSEを続けていてもこの先辛いことは多いでしょう。
10年以上SEをやってきていますが、中途半端に仕事ができるSEというのが一番不幸です。早めに見切りをつけるというのも1つの手段です。