IT業界においてよく言われることなのですが、SEになるには理系文系は関係あるのか?というお話です。
ネット上の情報を見ていると、下記のようなものが目立ちます。
- SEになるのに理系・文系は関係ない。
- 文系のほうがコミュニケーション能力が高く優れる場面がある。
などなど。
わたしは10年以上SEをやってきていますが、SEをやるのに理系文系どっちが良いかと聞かれれば理系であると回答します。
文系出身でもSEになれなくはないけれども、それなりに苦戦するでしょう。

文系出身SEのメリット・デメリット
1.論理思考が苦手な傾向がある
SEの仕事はプログラミングを使ってソフトウェアを開発する仕事と思われていることが多いのですが、それは少しばかり間違いです。
正しくは、『お客さんが抱える問題を解決する仕事』です。その手段としてプログラミングを使っているに過ぎません。

文系の方々が必ずしもそうとは言えませんが、どちらかというと文系出身の方は勉強をするにしても暗記をしてきていることが多いです。
たとえば英語の文法、単語など。覚えなければ勉強ができない、逆に言えば覚えることが勉強であったりします。
一方、理系の勉強は理解をして問題を解くものが多いです。つまり、『問題を理解して解決に導く』勉強です。
SEの仕事がお客さんの抱える問題を解決する仕事であるとしたとき、問題解決という機会を多く与えられてきたのは理系出身の方々です。
理系出身の方たちはほぼ無意識のうちに、論理的に問題を解決することができている、得意としており、IT企業に入ってから、特になんの苦労もなく論理的に物事を考え、解決に導ける人が多かったりします。
文系出身の方でも論理思考を得意としている人はいますが、全体的に見れば少数派です。IT企業に入った後、論理的に物事を考え、問題解決に導こう事ができず、仕事をこなせなくて泣く泣く退職していくという人を今までに何人も見てきました。
2.プログラミングといった技術的なスキルの習得が苦手な傾向がある
SEはプログラミングができなければ務まらない仕事です。中には全くできなくても続けている人もいますが、少数です。
プログラミングというスキルは社会全体的に見れば高度なスキルです。世の中にはまだまだパソコンを満足に扱えない人も多いのですが、その中でもコンピュータのスペシャリストと呼ばれるぐらいにならなければなりません。
当然、そんな高度なスキルは10人いたら10人が習得できるわけではありません。
10人いれば1~2人は全くプログラミングを習得できない人です。かろうじてできるという人だってたくさんいます。
プログラミングを習得できない人の中には文系出身という人も少なくありません。なぜ理系出身と文系出身で分かれてししまうのか?わたしの体感としましては下記の理由があると感じています。
- 論理的に物事を考えることができない。
- 数学的な知識・感覚を持ち合わせていない。
プログラミングにも論理的な思考能力というものが必要になってきます。文系出身の方は論理的な思考能力を持っていない傾向にあるというのは前章で記載した通りです。
また、プログラミングは数学的な知識を必要とします。理系出身の方であれば数学は避けて通れないものだったり、数学が得意だから理系に進んだという人も少なくありません。
ですが、文系出身の方は数学が苦手な人もいますし、数学が苦手だから文系に進んだという人もいます。
やはり、文系出身の人はSEにはどちらかといえば不向きである傾向があるのです。
3.コミュ力高め!でもSEに求められるものは別物
文系出身の方は理系出身の方と比較すると、『コミュ力』は高いです。コミュ力とはコミュニケーション能力の略です。
ただし、ここで誤解されているのが、SEに求められるコミュニケーション能力というのは一般的なものとは異なるということです。
一般的なコミュニケーション能力とは、
- 目上の人との会話でも物怖じしない。
- ハキハキとしゃべることができる。
- 人の心を動かすような会話ができる。
- 良好な人間関係を築くことができる。
こんなところでしょう。SEに求められるコミュニケーション能力というのは、『聞く』・『伝える』力ののことです。
- 必要なことのみを100%伝える。
- 必要のないことは一切伝えない。
- 相手に誤解させる余地を与えない。
- 相手の理解を100%汲み取るよう聞き取る。
一般的なコミュニケーション能力、トークはたどたどしくても構わないのです。相手に伝わりさえすれば声が小さくてもいいし、声のトーンも暗くて良いんです。

というような人でもしっかりSEをやっていたりします。
学生時代はみんなの人気もの、というようなコミュニケーション能力高い人でも、SEには向いていないというのはよくあることです。
4.文章が得意!でもSEに求められるものは別物
理系出身のSEの人が作る文章は読みづらい、わからない、伝わらない、などと言われることがあります。一方、文系出身の方だと文章力があると言われます。
たしかに、文系出身の人のほうが国語力は高いのかもしれません。正しい日本語を使えるのかもしれません。
しかし、ここでもSEに求められる文章力というものは別物なのです。
わたしはいままでにたくさんのSEが作成した文章を読んできましたが、理系出身と文系出身の作る文章には大きな差がありました。
- 文系出身のSEは文章で伝える。
- 理系出身のSEは図で伝える。
文系出身の方は文章に自信があるのか、良い文章を書いてきます。たしかに良い文章なのですが、人は文章よりも図のほうが情報を伝達しやすいのです。
おそらくこれは、ネット上の情報でも、

という情報が出回っているせいでもあるのでしょう。理系の文章はキレイな文章、読みやすさとかではありません。
コミュニケーション能力の説明でも書いたように、『伝える』ことが何よりも大切なのです。

まとめ
- 文系出身のSEは論理思考を苦手とする傾向がある。
- プログラミングは数学の仲間であり、文系出身の方の中には数学を避けてきた人もいる。
- 文系出身の方は理系出身と比べればコミュニケーション能力は高いが、SEに求められるものは別物。
- ネット上では文系出身の作成する資料のほうが優れると言われるが、SEに求められるものは別物。
一言でまとめますと、

ということです。
IT業界は慢性的な人材不足なので、理系文系問わず採用します。ですが、文系出身で、
- 数学が苦手
- 論理思考が苦手
という人はSEは辞めたほうが良いでしょう。もし、すでにSEになってしまっているというのであれば、早めに足を洗う事も考えておくと良いです。
ガチガチの理系出身の人でもSEの仕事についていけなかったり、ついていくのにやっとで苦しみながら仕事していたりします。適正がないと早い段階で気づけるのはある意味ラッキーなことです。あなたは不幸な人生を送らないようにしましょう。