
SEをやっていれば一度や二度、いや、10回以上は考えることかもしれません。むしろ毎日考えています。
一言で『SE辞めたい』と言っても、その本当の意味には複数あります。
- 単純に今の仕事内容を変えたいのか?⇒会社がダメ?
- SEそのものを辞めて異業界・異業種へいきたいのか?⇒仕事・SEがダメ?
今回は後者、『SEそのものを辞めて異業界・異業種へいきたい』について書かせていただきます。

SEは異業界・異業種に転職できる?
まず最初に、SEは異業界・異業種に転職できるのか?について言うと、『可能』です。
実際に異業界・異業種に転職していった人もそれなりの人数がいます。特に、新卒・新人・若手SEの場合は異業種・異業界への転職が多いです。(あくまでもわたしの身近な人の範囲で。)
SEが仕事を辞める理由というのは、
- SEを続ける
- SEを辞める
この2つしかありませんからね。転職後もSEを続ける人、転職後にSE辞めた人、わたしの経験上では、トータルで見れば割合は半々といったところです。
やはり年齢をある程度重ねると異業種・異業界への転職は少ないですね。ゼロではありませんが。

SEを辞めて異業界に転職した理由
これはわたしの周りの人の話ですが、下記のような理由でした。
- 仕事がむずかしい。
- 仕事についていけない。
- 不具合が出やすい仕事だけど不具合出るとヘコむ。
- 忙しい
『忙しい』という理由については書くべきかどうか迷いました。というのも、わたしの経験上、最近のIT企業にはブラック企業が少なくなってきていると感じているためです。理由は、国が『働き方改革』と言って長時間労働を規制する方向に動いているためです。
わたしは過去にSIerに勤めており、いろんな会社を客先常駐の派遣SEとして回ってきました。その中にブラック企業らしいブラック企業はなかったです。(強いて言うならわたしが勤めていたSIer企業だけがブラックでした)
仕事が忙しくなるのには理由が2つあります。
- 仕事の進みが悪くて忙しくなる
- 仕事ができすぎて多くの仕事を任されてしまう
まとめますと、SEを辞めて異業界に転職した理由というのは、SEとしての仕事がうまくいっていない、という理由が強いです。

という意味ではありません。
- SEの仕事はむずかしい
- SEの仕事は高度なスキルが要求される
ということです。あなたは高度な仕事をやっているんです。たとえ仕事がうまくいかなかったとしても、あなたの能力が特別低いわけではないんです。自信を持ってください。
わたしの経験上、プログラミングなどはみんながみんなできるものではありません。毎年かならず10%程度はついていけずに辞めていきます。ついていけてないのに残る人もいますが、そういう人は10年やってもついていけないままで、地獄のような日々が待っています。10年~20年経過すると会社から見限られ…クビにはならないけど事務職に回ったりします。…逆に楽になるイメージです。(給料減りますが)
異業界に転職するとどうなる?
では、SEを辞めて異業界に転職した人たちはその後どうなったのか?うまくやっていけているのか?
異業界に転職して成功した人はとても華やかな生活をしているように見えます。たとえるならストレスから開放されたような感じ。SEを辞める人は、SEがイヤでイヤで仕方がなかったから辞められることに満足感を感じる人が多いように思います。
一方、異業界に転職して失敗した人は、転職先の会社に不満を言っていたり、転職を繰り返したり、負のスパイラルにハマっています。
異業界転職で怖いのは転職に失敗したパターンですよね。いろんな企業を転々としてしまうというのが一番怖いです。『逃げグセ』が付くというやつですね。
なぜ異業種転職は失敗するのか?それにはいくつか理由があります。
- SEは高度なスキルを持っていると思っている。
- 転職先の企業でも自動化といったことで貢献できると思っている。
- しかし実際はITスキルを使える場面が少ない。
- むしろスキルより、業務経歴・実務経験のほうが重要
異業種転職をするSEなら誰もが一度は、

と思ってしまうことでしょう。ですがこれは間違いです。
たしかにパソコンが使えるというのはアドバンテージの1つではあるのですが、転職において本当に重要なのはスキルよりも実務経験なんです。
スーパーハッカー級のスキルを持った人が会計の仕事に転職したところで、会計の仕事はできないんです。ある程度はスキルを転用できる部分はあるかもしれませんが、必要とされるのはコンピュータの知識よりも会計の知識ですからね。
異業界に転職した成功談と失敗談
成功談
SEが異業種転職で成功するパターンというのは、社内SEという選択肢以外にはないのではないかと思います。
というか、社内SEへの転職を異業種転職に含めて良いものかも迷いどころですが…。
わたしの友人に大手SIerから某企業の社内SEになった人がいます。SEはSEだけども、一般的なIT企業と大きく違うのは社内にSEという人種は数名しかいないということ。
そう聞くと、社内SEは枠が少ないのかと思ってしまいがちですが、企業数はたくさんあるのでさほどむずかしいものとはわたしは思いません。
その企業には社内SEが数名いたそうですが、どうも誰もプログラミングができないそうです。社内SEって開発をしない人も多いのだそうです。社内SEはシステムの運用・保守、自社内システム開発を外注に依頼するといった仕事内容です。
ゆえに、パソコンに詳しかったりプログラミングができるっていうだけで神扱いされるとのこと。
もともと在籍している社内SEたちよりもコンピュータについては詳しいため、無双状態だそうです。これは誰もが異業種転職で憧れる姿ですね。
ただし、辛いところもないわけではなく、システムを外注した時、受け入れテストで不具合を見つけられなければ責任は自分に乗っかってくる、それが辛いのだそうです。
企業自体はIT企業ではなく、縁結び関連の企業であるため、一応異業種への転職と言えるでしょう。
失敗談
異業種転職の失敗談はあげればキリがないぐらいあるのですが…。一番ひどいのを抜粋して書きましょう。ほかはまた別の記事で。
わたしの友人のお話です。新卒で中小のSIerに就職した人がいました。
SIerってホントにIT業界のガンみたいな存在なんですよね。正社員として雇ったくせに、基本的には客先常駐の派遣SEです。
ほとんど自社に戻ることはなく、派遣先の企業で、派遣先企業の正社員と全く同じ仕事をしています。使えないと判断されたり、繁忙期が過ぎれば派遣切りです。
わたしの友人はいろんな会社を転々とした結果、SEを辞めたいと思うようになりました。また、結婚を控えていたために転職を決意しました。
結婚相手のご両親から出された条件が、

ということでした。…SIerの客先常駐は派遣社員じゃないんですけどね。
彼はとにかく派遣のSEを辞めなければ、という想いで、異業種転職をしました。
転職した先は、自動車のパーツを作っている工場でした。彼は車が好きだったという理由があります。
しかし、お給料は大幅にダウン。結婚するというのに給料を下げてしまってどうするというのか…。
なぜ給料が下がってしまったのかというと、SEが異業種転職をすると、基本的には未経験からの採用だからです。簡単に言ってしまえば新卒からやり直し、ということ。SEに限った話ではありませんね。
社内SEであればまだ経験が活かせるのですが、コンピュータの知識・スキルが一切不要な仕事に転職するというのは本当にもったいないことです。まぁきっと彼にはそれだけSEを辞めたいという気持ちが強かったのかもしれませんが。
自営業・フリーランスという道もある
ちなみに、SEを辞めたいと思った時、異業界・異業種へいきたいと思った時の選択肢として、
- 自営業
- フリーランス
というものもあります。実際にわたしの身近にも自営業、フリーランスとなった人がいました。
SEを辞めて自営業を始めた人の話
これはわたしの友人のお話です。
彼の趣味はゲームです。ゲームが大好きなのですが、SEという仕事が忙しすぎてゲームをする暇がない、とよく叫んでいました。
SEを続けてから4年経過したところで、会社を辞めることになりました。しかし、転職をするにしても、またSEに転職すれば趣味のゲームをする時間を確保できないかもしれないし、異業種に転職するにしても未経験からのスタートでは給料も下がってしまう。
そこで彼が取った選択というのは、『自営業』でした。かっこよく言えば起業ですね!なんと自前のゲームショップをオープンさせたのです!
自分の好きなことを仕事にするという、とっても夢のある話ですよね。正直なところ、あこがれます。
ですが、あこがれだけでは食ってはいけないのが現実です。彼もゲームショップをオープンしたあとはかなり苦戦していました。
- ゲームショップなんて腐るほどある
- 駅から遠いなど、お店の立地が悪い
素人のわたしの目から見ても、

とすぐにわかるほどでした。ですが、今でもそのショップは続いています。
彼はなんとか利益を出そうとゲーム以外も扱うようになりました。カードやおかしやお好み焼き…もうなんのお店だかわからなくなってきていたのですが、逆にそれが他のお店にはない、『ゲームが買えて遊べて食べれるお店』という差別化に成功していました。
自社のwebサイト作成やネット通販システムなど、IT関連のスキルがある程度は役に立っているようではありますが、ほぼ全く未経験からのスタートでよくぞ持っているな、という感じですね。
フリーランスになった人の話
ネット上ではフリーランスを勧めるようなお話もたくさん聞きます。中には高年収な人も見かけますよね。
それって本当なの?と思うかもしれませんが、割とガチです。
フリーランスの人の年収で1,000万円を超える人がいました。
SEって1時間あたりの単価って5,000円ぐらいなんですよね。1日8時間労働と考えれば40,000円になります。1ヶ月20日と考えれば800,000円です。単価はさまざまですが、正社員のSEであればだいたい5,000~7,000円の範囲です。
1ヶ月にこれだけのお仕事をしているのですが、SEの手取り月収は300,000円程度です…。ですが、フリーランスのSEであれば、800,000円というお金をまるごといただけるわけです。1年にすれば約1,000万円の年収となります。
ただし、誤解しないでほしいのは、
- 経費などは自分で払わなければならない
- 確定申告は自分でやる
- 仕事が常にあるとは限らない
- 不安定である
年収1,000万円と言われるとすごく魅力的に感じるのですが、仕事が常にあるとは限らない、不安定であるという点でわたしはフリーランスにはなりたくないな、と思いました。
たとえば、1年仕事やって次の1年は仕事ない、年収は2で割ると500万円じゃないですか。しかもその中から税金などを払っていくと考えると…普通の雇われSEやっていたほうが稼げるのではないでしょうか。
フリーランスは個人事業主で国民年金で、雇われSEは厚生年金。もらえる年金も大きく変わってきます。
フリーランスになった人は高年収であることをアピールしてくるのですが、実際に手元に残るお金、使えるお金である『実効年収』は高くはない、と言えます。

まとめ
- SEの異業界・異業種転職は可能である。
- ただし未経験採用になってしまうなど、険しい道程ではある。
- SEのキャリアを活かしつつ異業種転職したいなら社内SEがおすすめ。
- 完全にSEのキャリアを捨て去っての転職は失敗する可能性が高い。
- 自営業・フリーランスという道もあるが不安定。実効年収を考えると雇われSEのほうが良い。見た目の年収に惑わされないように。
SEの異業界・異業種転職は基本的にはおすすめしません。
ですが、SEをやっている中で、どうしても、

と思い悩むことはあります。うつ病になるぐらいだったら異業種転職でもなんでもすべきです。
ただし、できるだけSEとしてのキャリアをある程度活かせるような仕事を選びましょう。