新卒でSEになってみたものの、仕事が合わない、会社がSIerで多重請負や派遣ばっかり…。そんな理由から転職をしようと考える人は多いでしょう。

1つの会社には最低でも3年は続けろとよく言われます。はたして本当にそうなのでしょうか?
最初に結論から書いてしまいますが、本当にSEの仕事が合わない、会社を変えたいと思っているのであれば、長くいればいるほどデメリットのほうが目立ちます。
もし会社に居づらいと思うのであればなるべく早めに転職を検討してしまったほうが良いです。
新卒1年目でSEを辞める
1.イメージは悪いが大きなハンデではない
ざんねんながら新卒1年目で会社を辞めると周りの人からはあまりよくない目で見られてしまうことでしょう。


世間一般的にはこのように思われるでしょう。ですがこのような考えはもう古い考えです。古い考えを昔から引きずって現代に至っているのでしょう。
新卒で入った会社を1年で辞めるというのはイメージは悪いです。しかし、それが転職で大きなハンデになるとはわたしは思いません。
悪いイメージ以上、企業側にとって新卒社員を確保するというメリットのほうが大きいと感じます。
2.『第二新卒』という言葉があるように現代ではよくあること
第二新卒という言葉はわたしが社会人になったころにはすでに存在していた言葉です。つまり10年前にはすでにあったということ。2000年頃からすでにあったようです。
第二新卒の定義は、
- 新卒で入社してから1年~3年以内に会社を辞めてしまう社員
ということ。
第二新卒という言葉が存在するということは、それだけ新卒で入社してから1~3年ぐらいで会社を辞めて転職する人が多いということです。
なぜそんなに新卒ですぐに転職してしまう人が多いのか?これはわたしが実際に働いてきて感じたことですが、
- ジョブのミスマッチ
上記の理由が一番多かったように思います。なぜジョブのミスマッチが起こるのかといえば、仕事はやってみなければわからないからです。特にSEの仕事は特殊な部類で、一日中パソコンに向かっているし高度なスキルが要求される難易度の高い仕事です。SEの仕事は人を選ぶと言えるでしょう。
3.辞めた理由と志望動機で決まる
新卒で入社してすぐ転職というとあまり良いイメージはありません。これは人でも企業でも同じです。ただし、上述したように新卒の採用は企業にとってメリットの大きいものです。
新卒でも第二新卒の転職でも、どちらでも言える重要なことは、『転職前の企業を辞めた理由』と『転職先の企業の志望動機』
この2つです。
たとえば辞めた理由が、
- 人間関係がうまく行かなかった
- 仕事についていけなかった
といったネガティブな理由はNGです。これらは転職先でも同じことが起こるかもしれないと思われます。実際にはネガティブな理由かもしれませんが、転職時には絶対に伏せておきましょう。
やりたいことがある、仕事をしてやりたいことを見つけた、という回答のほうが良いです。
志望動機が、
- 大企業だから
- 自分の好きな商品を作っているから
というのもNGです。なぜなら、『御社で働かなければならない理由』がないからです。大企業に入りたいのは誰もが同じですが、大企業ならどこでも良いと言えます。好きな商品を扱っているというのは、仕事ではなく趣味の意味が強くなります。

転職先の企業のことを徹底的にリサーチし、企業の強みや弱みを把握して『御社で働かなければならない理由』を答えられるようにしましょう。
4.やりたくもないことを続ける3年は人生の損
よく最低でも3年は続けろと言います。3年続けられないやつは根性なしというレッテルを貼られてしまうかのような言葉です。
わたしはかれこれ10年以上SEを続けており、新卒1年目で転職する人もたくさん見てきたし、3年以上働いた後に転職する人も見てきました。
転職していった人を見てきて思ったことは、どうせいずれ転職するなら早いほうがいいってことです。その理由は、
- 転職は年齢を重ねれば重ねるほど不利になる。
- 若さは武器、選択肢が多い。
わたしのような10年を超えたSEというのはもうSE以外の仕事への転職はほぼ不可能に近いです。家庭も持っていたりして何をやるにしても身動きが取りづらいです。
わたしはすごく仕事のできるSEというタイプではなく中堅です。10年以上やっていてもいまだに毎日、悩みを抱えながらSEの仕事をしています。

などと、いつも考えています。ですが、10年目の時点でこんなことを考えても手遅れなんです。30歳を超えると異業種への転職はもちろん、同業種でも転職は厳しい年齢になってきます。

体感ではありますが、3年目を超えたあたりから異業種への転職はむずかしくなります。わたしの周りでも3年以上働いた後に異業種へ転職した人はたいてい失敗に終わっています。
3年続けろとはいいますが、3年続けると損することのほうが大きいように感じます。
5.新卒カードの消費がもったいない
なんといっても重要なのは『新卒カード』です。
人にはいろんなカードを振り分けられますが、どんな人でもたいがい持っている、一度は持たせてもらえる強烈なカードが『新卒カード』です。
なぜ企業は新卒を欲しがるのかというと、新卒という真っ白なキャンバスに企業は自由に、自分色に染めることができるからです。自分色・会社色に染めるとは、描けるキャリアプランが多いということです。
企業はどんな社員にもキャリアプランというものを描きます。
- 1年目はテスター
- 2~3年目はプログラマ
- 4~6年目はSE
- 7~10年目はプロジェクトリーダー
- 11年目以降、プロジェクトマネージャなど管理職
といった具合に。逆に言うと、新卒でなければキャリアプランを描きにくくなります。たとえば、社会人10年目でプロジェクトリーダーの経験がない、という人だと、逆算すると管理職にさせるキャリアプランを描けません。
会社は最終的に会社を回す、運営する人材が欲しいんです。管理職・幹部職になれないとわかっている人間はよほど特別なスキルを持っていない限り採用しません。
これが年齢を重ねることで転職が不利になることの正体です。新卒であれば企業側にとってもキャリアプランがまだ自由に描けるため有利となるわけです。
6.転職先がないわけではない、企業は人材を欲しがっている
毎年、テレビなどのメディアに学生が出てきて、

というのを見かけます。これを見ると日本は不景気なのかなと思ってしまいます。日本の企業は鎖国状態でどこにも入れないのではないかと不安になります。
もちろん学歴や試験もありますので一概には言えませんが、100社受けて内定をもらえない、という人の多くの原因は、『御社で働かなければならない理由』を答えられていないというのが大きいでしょう。
別に企業は人を雇いたくないわけではないんです。むしろ逆で積極的に人を採用したいんです。
ただ、企業が求める人材が見つからないだけなんです。では企業が求める人材とはどうやって知るのか?
- 企業のwebサイトを確認する
- 企業の事業内容を知る
- 企業が扱っている製品を調べる
わたしは人事の人と仲が良く中途採用の話をいろいろ聞いたりすることがあるのですが、
- 自分のことばかり話す人に興味は湧かない。
- 会社のことを調べてきてる人は『おっ!』となる。
かつて人事の人が気になった人材としては、

的なことを言った人は欲しいと感じたそうです。これがいわゆる『御社で働かなければならない理由』になります。
まとめ
- 新卒一年目の転職はイメージは悪い。だが大きなハンデとはならない。
- 第二新卒という言葉があるぐらい、当たり前のこと。
- 重要なのは『辞める理由』と『転職先の志望動機』。
- やりたくないことを3年続けるのは人生の無駄
- 新卒は強力なカード。無駄に消費するのはもったいない。
- 転職先はたくさんある。『御社で働かなければならない理由』を明確にできない人が多い。
わたしとしましては新卒1年目での転職というのはイメージが悪いものとはさほど思いません。むしろガマンしてガマンして…10年経って『自分この仕事向いてないかも』とか言って転職考えるよりはマシです。
だからといって職を転々とするのは良くないです。それこそイメージが悪い、悪すぎます。転職は多くても10年以内に3回まで。
転職で失敗しないためにも応募先の企業のことはしっかり調べましょう。事業内容を把握することである程度ジョブのミスマッチは回避できるはずです。また、企業が製品・サービスを作っているなら一般ユーザーの口コミまで確認しましょう。評判の良い会社は会社の中もホワイトである可能性が高まります。