SEの仕事というのは孤独です。毎日毎日ひたすらパソコンのディスプレイに向かってキーボードをカタカタと打ち込みます。

と言う人もいます。たしかにコミュニケーション能力があったほうが有利であることは間違いないのですが、持っていない人もたくさんいますし、どちらかというとSEはインドア派な人が多いので人と話すのが苦手です。
他の一般的な職業と比較するとSEはコミュニケーションを取る機会が少なく、人間関係の面倒臭さがある程度少ない職業ではあります。これはメリットである反面、デメリットでもあります。
たとえば、悩みを抱えてしまった時に相談する相手がいない、相談しづらい。つまり、問題を一人で抱え込んでしまいやすいのです。

仕事がわからない!と1人で問題を抱え込んでしまうSE
SEの仕事はむずかしい
まず最初にわたしは主張したい。

SEがたくさんいる職場にいると、プログラミングや最先端技術の習得が当たり前のように感じてしまいますが、これは世間一般で見れば相当むずかしいことをやっているはずです。
考えてみてください。今どきの若い人でもタイピングすらまともにできない人がいますし、ワード・エクセルだってしっかり扱えていません。
SEはタイピングができて当然(まれにできない人もいますが…)ですし、ワード・エクセルなんて『おまけ』でくっついてくるスキルです。
ITスキルの中でも最上位に位置するであろうプログラミングスキル。出来るということは本当はすごいことなんです。
仕事上、『わからない』ことがたくさん出てくる
できて当然のプログラミングなのですが、SEの中にはどうしても理解できない、習得できないという人た一定数います。

プログラミングに限った話ではありません。仕様や規格、SEの仕事にはわからないと感じる場面が非常に多いです。
仕事がむずかしいのだからわからないということがあっても仕方がないことなのです。
『わかりません』と言い出しづらい雰囲気
しかし、SEの現場では『わかりません』とは言い出しづらい雰囲気があります。
- 誰だって最初はわからない。
- わからない = 調べていない、勉強していない。
- 『わからない』は『怠慢』と見られることがある。
本当は素直に、わからないことはわからないと言わなければならないのですが、それがなかなか言い出せない。わたしもそういう体験をしたことが何度もあります。
実際にわかりませんと言うと、

と怒られることもありましたし、

と返されることもあります。

ソフトウェア開発というのは派生開発が多いです。誰かが作ったものを引き継いで開発を続けるというスタイル。ソースコードを継ぎ足す秘伝のタレのようなもの。
わたしだってゼロからすべてを作ってきたわけではありません。調べてみないとわからないことがたくさんあります。
SEの強さ = 保有スキルの高さ
SEの強さというのは保有スキルの高さみたいなところがあります。わからないことが多いSEは立場が弱いです。






何を聞いても『わからない』。『わからない』ということが何度も連続して続くと、その人への信頼を無くしてしまいます。わたしはあまり人を見下したりはしたくないのですが、不思議と心の中で上下関係が決まってしまいます。『あ、この人は自分より下だな』って。
逆に、人からの質問を何でも回答できたり、全然バグを出さないような人だと立場が強い。立場が強いというか『ドヤ顔』をする人もいます。これはこれで態度が大きくなりすぎて迷惑な存在だったりします。
恥ずかしいのか?プライドか?一人で問題を抱え込む
真面目な人ほどわからないということを恥ずかしいと感じるでしょう。
わからないと思ったことを人に聞けない、相談できない。一人で抱え込んでしまいます。
残念ながらこのようなタイプはSEには向いていない性格です。性格を直すか、転職をするか検討したほうが良いです。
断言しますが、わからないことをわからないということは悪いことではありません。恥ずかしいことではあると思いますが。
一番よくないのは、わからないことをわからないままにしておくことです。

わからないままにしておくことのリスク
わからないまま仕事を進めてしまう
自分がちゃんと理解していない状態で仕事を進めるとどうなるか?下記の問題が確実に発生します。
- 仕様の検討漏れ
- メンバーとのインタフェースミス
- プログラミングのロジック間違い
一言で言うと、バグがたくさん出ます!ってことです。
バグが出ると他のメンバーにも迷惑をかけることになります。
- 他メンバーの日程を遅らせる
- 他メンバーのテストが無駄になる
バグが発生すれば修正するために時間が取られます。バグの性質によっては作業全体をストップさせることもあります。最悪なのが、今までやってきたテストを無にしてしまうパターンです。

このようなことがよく起こります。しっかり理解した上で作業を進めた上でもバグは出ますが、ある程度はバグの発生を抑えることができます。
バグが1つ発生するとすべてが狂いますので、極力バグを出さないためにも理解して作業を進めなければなりません。こうならないようにするためにも、わからないときはわからないと伝えましょう。わからないと言ったほうが罪が軽いんです。
できないことをできると言ってしまう
何をするのかわかってもいないのにお客さんに、

と聞かれ、すかさず、

と答えてしまうSEがいます。こういう場合は本当ならば一旦持ち帰るべきです。
できるかどうかは調査をしてみなければわかりません。わかってもいないのにできると言ってしまう。実際にやろうとしたら…実化不可能か、あるいは膨大な費用が必要になる。
あとからお客さんに、

というのは許されないことなのです。お客様はもうすでにできる前提で計画を進めてしまっておりますので。
ここでもやっぱり、『わかりません』と伝えるべきなのです。『わからないので調べます』ですね。
わからないというのはたしかに恥ずかしいことではあります。他人からよく思われないのも事実です。
ですが、これもまた上述したように、できないことをできると言ってしまう罪より、わからないと言う罪のほうが軽いんです。

まとめ
- SEの仕事はむずかしい。
- わからないと感じる場面はたくさんある。
- わからないは恥ずかしいことではある。
- しかし、わからないまま仕事を進めてバグを出す、できないことをできると言う、これらより罪は軽い。
- 罪を大きくしても辛いだけ。早い段階で軽い罪で精算しておく。
わたしは10年以上SEをやっていますが、いまだにわからないことなんてたくさんあります。昔はわからないことをわからないと伝えるのが恥ずかしいと感じていました。…いや、今でも恥ずかしく思うことはあります。
ですが、わからないということを隠していてもどこかでかならずボロが出ます。そして後で発覚するほど問題は大きくなります。
ならば、早めに、罪が小さい内に精算しておいたほうが良いというわけです。
ただし、あまりにもわからないことが多すぎる、人からの質問に対してほとんど何も回答することができないという人は今後の進路も含めて考えたほうが良いでしょう。
SEは高いスキルが要求されるむずかしい仕事です。実際に仕事についていけない人はたくさんいます。仕事ができなければ辛いし、中途半端に仕事ができても辛いです。SEはある程度のセンスが必要とされる職業で、芽がないと思ったら転職も考えたほうが良いでしょう。