SEは時間厳守のお仕事です。品質・コスト・納期…大切にしなければならないものはいくつかありますが、その中でも納期が一番大切です。
納期を守るのは当然のことではありますが、中にはその大切さがわかっていない人もいたりします。
納期を守れないということはお客さんとの約束を破ることであり、約束を破れば今後の仕事はなくなってしまうかもしれない。
つまり、納期を守らないということは会社の経営すら傾けさせかねないことにつながるということです。
しかし、納期を守りたくても守れないという場面がたくさんあります。
- 最初の見積もり・想定より作業規模が大きかった。
- 作業が順調に進んでいると思っていたのに実は進んでいなかった。
SEは時間の管理がなによりも大切なお仕事です。今回はわたしなりのSEの時間管理術について書かせていただきます。

10年以上SEをやってきて培った日程計画術
日程は『ざっくり見積もり』と『詳細見積もり』の2段階にする
お客さんから仕事をもらった時、最初に作業について見積もりを行うことになります。
- 作業規模
- 日程計画
請け負った仕事に対して何人日かかる作業なのか?1人でやるのか?2人でやるのか?何日から初めて何日に作業が終わるのか?
この作業の見積もりを見誤るとあとで大変なことになります。
- 作業の途中で予算がなくなった…。
- どう考えても納期に間に合わない…。
見積もり作業というのは非常に重要なことなのですが、お客様はそんなことは知ったこっちゃありません。


見積もり作業は大切だけれどもあまり多くの時間を与えてくれない事が多いです。わたしは下記のように進めています。
- ざっくり見積もり
- 詳細の見積もり
2段階で作業規模を見積もります。最初にざっくりとした日程はこれくらい、と出して、あとで詳細の調査をして精度の高い見積もりを出します。
要は、作業規模はどれくらい?とお客さんが質問したとき、どれくらいの作業規模なのか?いつまでかかるのか?という不安を抱えています。
その不安を取り除くのと、そもそも可能か不可能かの判断材料を与えるのです。もしこれが、

などと言ってしまうと他の会社に頼んでしまうかもしれませんし、1ヶ月待つにしても、1ヶ月後に『できません』と言われてはビジネスとして成り立ちませんからね。
ざっくり見積もりも詳細見積もりも、どちらにおいてもかならずマージンは設けておきましょう。

なぜそんなにかかるのかと言われることもあるでしょう。ここで言われていることは、

という意味ではありません。ここで負けて折れてしまうとだいたい不幸になります。
しっかり時間がかかる理由を説明すれば良いのです。もっと早く納品しろと言っているのではなく、納得できる理由を求められているのです。
作業は集中して行う
実際に作業を開始したら、作業は集中してやっていきましょう。
こんな実験があります。
0→1→2→3→…、次にa→b→c→…を順に紙に書いていきます。これはどんな人がやってもそんなに時間はかからないでしょう。
しかし、0→a→1→b→2→c→…と書くと、0~9、a~zを順に書くより大幅に時間が掛かる人が圧倒的に多いのです。書き出す文字数はどちらも同じなのに、作業時間が変わってしまうのです。
このことより、
ということが導き出されたのです。
作業を進めるならなるべく打ち合わせなどはまとめるなどしたほうが良いでしょう。また、気分によって別の作業に手を出したり…ということもしないように。
もしリーダーであれば、メンバーに作業を割り込ませないようにしたほうが良いでしょう。割り込み作業を専門に扱うメンバーを用意したほうが良いです。
出社したその時に、1日のうちにやることを決めておく
作業がある程度細かい場合には、その日のうちにすべき作業を決めておきましょう。
もう少し細かく言うと、1日のスケジュールを考えるということです。

この迷ったり考えたりする時間がもったいないのです。また最初に、

という気持ちで作業に挑まないと、だいたい作業効率が落ちます。
作業A、B、C、Dまであったとしたら、本当なら1日で終わるはずが作業Dが残ってしまったりします。
無駄な時間が発生してしまっているというのもあるのですが、1日単位でもしっかり目標を決めて作業を進めないとどこまで作業すればいいのか、どこまで作業しなければならないのかが曖昧なのです。
1日実働8時間でも実際は5時間程度しか働いていないと考える
ほとんどの会社は基本的に実働8時間前後でしょう。日程計画をするとき、

と想定します。しかし、たいていこれはそのようにいきません。
- スケジュール確認したら打ち合わせが入っていた
- 人からの質問など、割り込み作業があった。
- 集中力が続かない。
- トイレ休憩などなど…。
実働8時間といっても、自分が作業に使える時間は8時間もないのです。せいぜい5時間程度です。

と怒られてしまうかもしれません。8時間フルで作業することができたとしても、今度は集中力が続きません。集中力が落ちればパフォーマンスが落ち、こなせる作業量が減ります。
結局、最初に想定した8時間以内で出来る作業量を達成することができないんです。
これは仕事ができないとか、そういうものではありません。人間なのですから、当然のことです。
こういった『できない自分』を受け入れる、計算に含めることもSEをやるために大切な要素の1つです。
打ち合わせの時間など、1週間分の時間を知る
日程計画をする上でもっとも忘れてしまいがち…というか、計算しづらいのが打ち合わせの時間です。
かといって、日程計画をするときはだいたい日単位、週単位です。時間単位で細かく日程計画をすることはできませんし、ちょっとでも日程が狂ったら時間単位で修正するのは面倒すぎます。
なので、わたしの場合は1週間あたりで何時間打ち合わせがあるのか、ということを先に計算しておきます。
1日実働8時間、1週間を5日とすれば実働40時間。そのうち、打ち合わせが5時間あるとすれば、1週間の実働は35時間となります。1日あたり、実働7時間となります。(上述したようにフルで7時間働けるとは思えませんので、やはり1日あたり4~5時間の労働で計算します)
1日単位で見ていると、打ち合わせがある日とない日があるので計算しづらいのですが、1週間あたりにどれだけあるのか、平均するとどのくらいなのか、ということを計算しておくと、いくらか日程計画をしやすくなります。
無茶振りに負けるな!割り込み作業は『追加作業』である!
SEの仕事の時間管理において天敵と言えるのが、お客さんからの無茶振りでしょう。

…あるあるですよね。難癖つけてこちらのミスにさせ、お金を払おうとしない。
これは絶対に折れてはいけません。

もちろん怒られることはあります。ですが、ここで脅しに負けて引き受けると、今度は上司に怒られるだけです。

会社によってはサービス残業・休日出勤もあるでしょう。
どうしても話がつかないなら上司を通して話をしてもらいましょう。

お客さんという立場が上の相手ではありますが、押し負けないようにしましょう。
こちらの日程計画としては、最初の見積もりで対応できるような日程で計画していますので、割り込み・追加作業が発生すれば100%破綻します。
計画した日程に割り込ませない、追加させないようにする、というのがSEに大切な時間管理術の1つです。

まとめ
- 日程計画は最初にざっくり、次に詳細…と、絞り込んで精度を上げる。
- 作業は1点集中で進めたほうが捗る。
- その日の朝に、その日のうちにやるべきことを決めておく。
- 人は実働8時間でも実際は5時間程度しか仕事ができていない。できない自分を知る、受け入れ、計画する。
- お客さんからの追加作業を軽々しく受け入れてはいけない。
いかがでしょうか。ちなみにわたしはここまで注意していてもまだまだ日程がギリギリということはあります。うまくいくときはうまくいくのですが…。
やはり日程を狂わす原因はバグですね。バグは出るときはボロボロ出るし、出ない時は全然出ないこともあります。(バグが出ないとまた不安ですが…)
ただ一つ言えることは、日程通りに作業を進められないからといって、できない人間というわけではないということです。
SEという職業は難易度の高い職業ですので、仕事をうまくこなせないという人は多いです。超一流のSEですら日程ギリギリまで作業をしていたり、修正しきれない不具合を残してリリースしたりしています。
今、日程通りに進まず悩んでいるという人は、社内でも仕事ができると評判の人を観察してみてください100%日程ギリギリとかバグ出したりとか、何かしら問題出ているはずです。
こういった環境から抜け出したいのであれば、SEから足を洗って異業種・異業界へ転職したほうが良いでしょう。