SEの仕事はむずかしいです。10年以上SEをやっていますが、わたしと同等の経歴をもっていながら満足仕事についていけていない人もたくさんいます。
今、SEの仕事についていけない!と悩む人もいるでしょう。特に、入社してから3年前後。わたしみたいに10年とかやってると開き直りも入ってきますからね。

と考えるかもしれませんが、ちょっとだけ待ってください。
SEの仕事についていけないと悩む人は多いのですが、みんな理由が違います。そして、理由別に対処法が異なります。
なので、まずは自分を知るところから始めましょう。兵法で有名な孫氏はこう言います。

敵と自分の力量をしっかり把握すれば、危険な戦いなんてないという意味です。
あなたの大切な進路です。まずはしっかり問題を見極めていきましょう。

SEの仕事についていけないと感じる理由
1.プログラミングがわからない
SEをやる上で、プログラミングスキルというのは切り離せないものです。
プログラミングができないSE…実はたくさんいます!たくさんいますが、立場的には弱いことが多いです。
- プログラミングをしてみてもわからないので時間がかかる。
- がんばって作ったけど間違ってる、バグってる。
- どこへ行っても戦力として扱われず、プロジェクトを転々とする。

しかし、プログラミングが一切できないのにちゃんと会社に生き残っている人もいれば、プロジェクトリーダーになる人もいます。
もちろんプログラミングはできたほうがいい。プログラミングについてはできるように勉強してほしい、というのが10年目SEのわたしからが期待することです。
ですが、どんなに勉強を重ねても習得できないという人が一定数いるんです。これは事実です。相性みたいなものですね。
そういう人は、
- 転職をする
- テストに特化する
- プロジェクトリーダーになる
わたしの経験上、さっさと転職をする人が5割です。プログラミングができないけどSEとして会社に残る人は、テスターに特化する人も多いです。最近ではテストエンジニアなんていう言葉も流行っているぐらいですからね。
そして妙案。プロジェクトリーダーを目指すというのもアリです。
上述したように、実はプログラミングできないSEというのはけっこういます。ゆえに、プログラミングができる人は開発に回されます。そうなると自然とプログラミングができない人がプロジェクトリーダーの候補になることがあるんです。
わたしの経験上、

という人がプロジェクトリーダーになった例をたくさん見てきました。こういう人たちには特徴があって、『プログラミングできません』と開き直っている人が多いです。
SEなのにプログラミングできない、というのは、ちょっと恥ずかしいというか隠したくなったりするのですが、こういう人たちは自分の問題をしっかり真正面から見つめて、解決方法を考えている人だったりします。

そういうことなんです。転職せずとも社内にはプログラミングをしない仕事もたくさんあるものです。
2.他人のソースコードが読めない
プログラミングはできる。自分でプログラムを作ることはできる。でも改造になると開発に時間がかかってしまったり、よくバグを出してしまうパターン。
ソースコードというものは自由自在に書けてしまいますからね。他人が作ったプログラムを見ると、これはいったいどういう意図で作ったのだろうか?と疑問に思う場面がいくつもあります。

とかね。『あとで消す』とか言っておきながらなんで10年以上も残ってるの?消していいの?ダメなの?使われてるの?…もう意味がわかりません。
こういう罠にハマりながら解析するも、結局理解が間違っていたりしてバグってしまう。
これはわたしも言えることなのですが、他人のソースコードが読めない、理解できないんです。
SEの仕事の大半は新規開発ではなく、既存のソースコードの改造が多いです。他人のソースコードを読む、理解するという能力はかなり大切なスキルです。
こういう場合は正攻法ですが、
- じっくり時間をかけて解読する。
- ソースコード解析ツールを使う。(関数ツリーにしてくれるツールとか)
- 人に聞く。
- 自分の理解を人に伝える、レビューする。
わたし個人としてはプログラミングができるけどソースコードが理解できない、という人は、プログラミングができない人より厄介だと思っています。『中途半端に仕事ができる』、このパターンが一番苦しい想いをします。
3.規格・仕様を理解できない
会社の事業内容にもよるのですが、特別むずかしい仕事をやっている会社というものがあります。
わたしは以前SIerに勤めており、客先常駐のSEとしてさまざまな企業に派遣されてきました。中には一流の大手企業もありました。
大手企業の開発部門は本当にむずかしいことをやっていたりします。世界の最先端技術を使ってソフトウェア製品を作るのですが、まず日本語の資料なんてものはありません。規格書はすべて英語。それどころか、世界のどこかでやっている、規格を決定する打ち合わせの議事録を読んで製品を作るなんてこともしていました。
その規格をもとに作られる仕様書も難解なものです。わたしのような専門卒の低学歴SEには仕事についていけないのです。

こういう場合は会社を変える、転職することで改善する場合があります。事業内容がハイレベルなのでプロジェクト異動では解決できません。
4.人の話を理解できない
SEに求められる能力の1つにコミュニケーション能力があります。無くても仕事をこなせている人はたくさんいますが、あったほうが有利でしょう。
コミュニケーション能力とは、ただお話をする能力ではありません。相手の話を聞く・伝える。これがSEに必要とされるコミュニケーション能力です。笑えないトークでもたどたどしいトークでもいいんです。
人は思っている以上に、自分の考えを言葉にできていません。
- 話に主語がない。
- 背景事情がわからない。
- 主張を裏付ける事実・理由がない。
- むずかしい話を簡単にして説明することができない。
そんなことから、人の話を聞いているときにも、

と思うことばしばしばあります。
単純に相手の『伝える』能力が低い場合もありますが、聞くほうにも『理解する』能力が必要になります。
特に、SEの仕事というのは専門用語が山程飛び交いますので、さらに人の話を理解するのが困難です。
もし、あなたが人の話を理解できずに辛い想いをしているのであれば、それはかならずしもあなただけの責任ではありません。
- 基本情報処理、応用情報処理を勉強して基本的な語彙は抑えておく。
- 恥ずかしがらずに『お前の話はわからん!』と言ってみる。
失礼を承知で、

と伝えてみるのが良いです。
SEって『声が大きい者が正義』、みたいなとこがあります。一番よくないのは、わかったフリをすることです。あいまいな理解のまま仕事を進めると、バグや考え漏れが出てきて痛い目見ます。

まとめ
- プログラミングができない
- 人のソースコードが読めない
- 規格・仕様を理解できない
- 人の話を理解できない
SEをやっていて仕事についていけない、と感じるのには、いろいろ理由があります。まずは自分がどういう理由でそう思ったのかを考えてみてください。
ネット上のwebサイトでは転職を進めるところが多いのですが、しっかり根本的な原因を抑えていなければその転職は失敗するかもしれません。
ITの世界には『銀の弾丸』という言葉があります。意味は、『一撃、必中必殺の大技、すべての問題が解決する弾丸』という意味です。『銀の弾丸なんてものはない』というように使われます。転職は銀の弾丸ではない、ということです。