SEの仕事内容がブラックであると思われている方は多いでしょう。
しかし、わたしの経験上では本当にブラックなSEというのはほとんど見たことがありません。
わたしは以前、弱小企業のSIerに勤めていました。そこは残業やボーナスがカットされることもあり、本当にブラック企業ではありました。
ですが、今どきのSEにブラックな労働を押し付ける企業はほとんどないという認識です。なぜなら、企業にとってリスクが高すぎるから。
SEの仕事がブラックではないかと心配されている方が多いと思いますので、今回はSEの仕事がブラックになりえない理由について書かせていただきます。

SEの仕事がブラックにならない理由
1.SEの仕事は原価率・利益率が良い
SEの仕事はプログラミングを使います。プログラミングとは、基本的にはパソコン1台で仕事ができるものになります。
物にはかならず原価があります。材料費だったり運送費であったり。
ですが、SEが作り出すソフトウェアという製品には材料費はゼロです。一度作ったソフトウェアはコピー&ペーストでいくつでも複製可能です。運送においても、webサイトにソフトウェアをアップロードするか、またはメディアに焼くか、このどちらかです。最近はwebサイトにアップが主流ですかね。
SEのソフトウェア開発という仕事は、材料費も運送費もゼロです。主に人件費しかかからないという、原価率が非常に良い仕事なんです。

たとえば販売や飲食といった仕事では、原価が高いと利益が低くなる、利益率が悪いということがあります。
利益率が悪い、利益が少ないような会社では、赤字を回避して黒字にするため、無理なノルマや残業代・手当てを不正にカットするといったこともするかもしれません。
原価率が良い、ということは、利益率も良くなる傾向にあります。原価にお金がかかっていませんからね。
要は…SEは儲かる、よく稼いでいる、ということです。儲かっているからブラック企業のように無理させる必要がないんです。
わたしの友人で販売の仕事をしている人がいますが、体育会系で厳しいノルマを課せられています。
- SEにはノルマなんてものもはない。
- 時と場合によりますが、のんびり仕事をしています。
- 10分程度の休憩だっていつでも自由に取れます。
こういうことができるのも、ソフトウェア開発は原価率が良い、利益率が良いおかげでしょう。ただし、下流・弱小のSIerには当てはまりませんのでご注意を。
2.SEは市場価値が高い
SEという職種は一般的な仕事と比較すれば高度なスキルが必要となる仕事です。一般的な企業ではパソコンをまともに扱えない、エクセル・ワードも扱えないというところ多いです。
そんな中、パソコンを自由自在に操り、パソコン1台でソフトウェア製品を作り出す。そんなことができる人材が安い人材でしょうか?
IT業界にいると忘れてしまいガチなのですが、プログラミングというスキルは社会全体で見ればかなり高度なスキルの部類であり、人材は需要に対して供給が追いついていません。

そんな慢性的に不足している人材のSEを、企業側はブラックな扱いをして良いのでしょうか?当然、SEはそのブラックな企業から転職していってしまいます。
企業側は労働条件をできるだけ良くしてSEを囲っておくところもあります。おそらく、その企業の1つがわたしが勤めている会社です。
わたしが勤めている会社は日本でも最高峰の会員制リゾートホテル『エクシブ』が福利厚生として利用することができます。普通に会員権を買おうとすると1,000万円ぐらいしたりします。そんなところに激安価格で宿泊することができます。
たしかに、SEが低賃金で長時間労働など、買い叩かれていた時代はありました。ですが、SEがブラックなんていうのは昔の話だと私は思っています。
3.働き方改革による作業負荷軽減
SEは残業ばかり、休日出勤ばかりと思っている人も多いと思います。人によっては残業・休日出勤は絶対にしたくないという人もいるでしょう。
『働き方改革』、これによりいろんな企業が方針を変えてきています。そして、わたしが現在勤めている会社でも同じことが起こっています。
働き方改革により、わたしのお仕事でも残業ゼロになる月がちらほら出てきました。簡単に言うと、
- 仕事は定時時間内に終わらせよう。
- 残業はせずに効率を上げて仕事しよう。
ということです。
働き方改革によってこれから残業は減っていくでしょう。それはSEの仕事も同じです。
世間一般的に残業をしなくなってきているのに、SEの仕事だけが残業を目一杯する、ということになると、企業側もSEを囲っておけなくなってしまいます。
ただし、残業や休日出勤が少ない、というのにはデメリットもあります。それは『給料が下がる』ということです。

ということがよくネット上では言われていますが、実はその逆で残業・休日出勤をやりたがっているSEは多いです。なぜなら、たくさん稼げるからです。
SEはどちらかというと世間一般の職業より平均年収は多めだと思います。ですが、家庭を持っていたりするとそれでもちょっと足りなく感じる。ある程度は残業で稼いだりもするのですが、それがゼロになってしまうと…。
わたしは弱小SIerで客先常駐SEをやっていた頃、年収は400万円でした。SIerを抜け出し、自社製品を扱う現在の会社に転職した結果、年収600万円ほどにまであがりました。しかしこれは残業代込みです。残業が本当にゼロになってしまえば、年収は550万円近くまで下がる見込みです。
4.36協定の改善
SEのブラックなところといえば、残業が多すぎる、休日出勤が多すぎる、ということが挙げられます。
36協定にて、一ヶ月あたりの時間外業務の限度が決められています。ブラック企業が問題となり、これが大きく改善されました。
一般の労働者の延長時間の限度
期間 限度時間 1週間 15時間 2週間 27時間 4週間 43時間 1ヶ月 45時間 2ヶ月 81時間 3ヶ月 120時間 1年間 360時間 一定期間における延長時間は、1 か月 45 時間、1 年 360 時間とする。 ただし、通常の生産量を大幅に超え
る受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労使の協議を経て、6 回を限度として 1 か月 60 時間まで、1
年 420 時間までこれを延長することができる。 なお、延長時間が 1 か月 45 時間を超えた場合の割増賃金率
は 30%、 1 年 360 時間を超えた場合の割増賃金率は 35%とする。
わたしも過去にブラックな仕事を経験したことがるのですが…。
少しだけ昔のお話。以前は限度目一杯に残業させられたこともあります。1年間で合計600Hの時間外業務です。1ヶ月あたり、80Hの残業もしたことがあります。
しかし、現在では1年間の時間外業務の合計は360Hが限度となっています。1ヶ月あたりの時間外業務も45Hが限度です。ただし、例外的に1ヶ月60Hまでの時間外業務は認められています。その場合は別の月でつじつまを合わせるようになりますが。
この36協定見直しにより、SEは大幅に残業・休日出勤をする機会が減ることになります。まぁ残業が減る分給料も減るかもしれませんので、人によってはデメリットかもしれませんけどね。
5.企業の法律遵守
当たり前の話なのですが、企業は法律を守らなければなりません。法律とは、労働基準法などです。もちろん36協定も含まれます。
昔は…というか、今でも企業によっては法律を守らない企業もあります。
- 小規模なIT企業
- 弱小SIer企業
- ITベンチャー企業
こういった規模の小さい会社は、会社の仕組み・制度が整っていないため、ブラック企業になりがちです。実際にわたしも弱小のSIerに勤めていましたが…ブラック企業でした。残業代カットにボーナスカットでしたからね。
しかし、中小規模のIT企業であれば法律を守る、法律遵守を最優先に考えています。残業代カットなどという違法行為はほぼ100%と言ってもいいぐらいにしていませんよ。
なぜなら、起業が法を守らないというのはあまりにもリスクが高いからです。今の時代に違法な労働をさせる企業はよほど経営が切羽詰った下流・弱小SIerぐらいなものでしょう。
IT業界がブラック企業だなんだというのはもう10年以上も前から言われている話です。これだけ問題視されているのですから、雇われる側もすぐタレ込むし、タレ込む先がSNSなどを含めてたくさんあります。一瞬にして拡散する時代です。
企業がSEに対して残業代をケチって得られるお金より、残業代をケチったことによりビジネスチャンスを失い、億単位のお金を得られなくなるほうがあまりにも不利益すぎるんです。
今どきのIT企業で残業代カットなんていうのは、わたしは最近ではもう一切聞かなくなりました。もしそんな会社があるなら、即刻辞めてしまうべきです。
まとめ
- SEの仕事は原価率・利益率通い
- SEは市場価値が高い
- 働き方改革による負荷軽減
- 36協定の改善
- 企業の法律遵守
SEの仕事がブラックであると思っている方は多いと思いますが、はっきり言ってそんな心配はない、と断言できます。
ただし、企業によるでしょう。わたしの身近ではブラック企業なんていうものを聞かなくなりましたが、きっとどこかにはあるのかもしれない。
零細・弱小SIerであればブラック企業はまだあるのかもしれません。わたしが過去に体験してきたように。
そういう場合は、そこでは実務経験を積んでいるんだ、と割り切りましょう。その経験はいずれキャリアアップ転職に役立ちます。
IT業界はブラックばかりじゃない、ブラックはむしろ減ってきている、少なくなってきてる、ということを覚えておいてほしいです。