わたしはかれこれ10年以上SEを続けてきています。
10年という時間の中で、うつ病になって倒れていく仲間を何人も見てきました。片手では数え切れないほどの人たちがうつ病となり、休職や退職に追い込まれています。
SEという職業はうつ病になる人が多いです。なぜ多いのか?
10年間SEをやってきて、SEがうつ病になる理由について書かせていただきます。

SEがうつ病になる6つの原因・理由
1.ミス・バグを出すと自分に自信を無くす
SEの仕事にミス・バグはつきものです。ソフトウェア開発はまだまだ歴史が浅く、全世界の頭のいい人たちがバグを出さないようにする開発手法の研究をしています。
多くのSEはわかっています。ソフトウェア開発においてバグが出てしまうのは仕方がないということを。
しかし、バグが出るということは仕事がうまく行っていないということであり、仕事がうまく行っていないということは仕事ができないということでもあります。

と自信を失ってしまう人もいるでしょう。わたしだって今までに何度もバグを出してきていますし、とうにSEとしての自信なんてものはありません。
自信にない状態でSEを続けていると仕事にたいしてモチベーションもあがりませんし、やりがいだってなくなってきてしまいます。
そういった充実感のない生活・無気力な生活を長いことを続けていれば、うつ病を発症するリスクも高まるでしょう。
2.バグが出ればプロジェクトメンバーから白い目で見られる
上述したようにソフトウェア開発においてバグの発生は仕方のないものです。みんな仕方がないものだと頭の中ではわかっているのですが、バグが出れば犯人を見つけ出して責められます。

バグはゼロにすることはできないと怒っている本人は言うくせに、バグが出れば人を責める、SEの世界というのはこんなものです。仲の良い同期も先輩も、バグが出れば責めてきます。
要は、そういった火の粉が自分にふりかからないようにみんな必死なんです。SEに求められるスキルというの技術面だけではありません。自分の健康・精神を守るスキルも大切なのです。
3.バグが出ないだろうかと不安になり土日も休めない
バグが出れば自分に自信を無くしてしまうし、周りの人からも責められる。

バグが出ることを異様に恐れるようになります。每日每日、バグが出ないだろうかと不安になります。
これはわたしの実体験ですが、朝会社に出社したときに確認するのが、
- 電話の着信
- 受信メール
バグの報告はないか?と不安なのです。特に不安なのが休日明けです。
休日出勤をしている人もたまにいたりしますが、そういった人たちは納期間近など追い込まれている人たちです。
そんな追い込まれた人たちからの報告…しがないSEのわたしに対して良いニュースなんてあるでしょうか?ほぼ100%悪いニュースです。

今まで平穏に過ごしていたのに、たった1本の電話・メールですべてが狂います。

と思いはしますが、すぐに修正しなければなりません。当然、残業・深夜残業をしてでも…!
そして、こう言われます。

最後の最後で大逆転、すべての責任がわたしに降り掛かって納期遅延となります。こういうことがあるので、SEは土日すら安心して休めないのです。
4.バグがもたらす会社への損害が気になる
バグがもたらす影響・問題というのは仕事への自信がなくなるとか日程遅延するとか、それだけではありません。
誰もが一度はニュースなどで見たことはあると思うのですが、駅や空港のシステムが止まる事件がたまに発生しています。
あれはきっとどこかの誰かがたった1行程度、コーディングをミスしただけなのでしょう。たった1行の間違いでも何億、何十億という損害をもたらしてしまう可能性があるのがSEの仕事です。
自分のやったことが会社の経営を傾けてしまうかもしれない、倒産させてしまうかもしれない。そんな重圧に耐えながらSEは1行1行ソースコードを作っています。
ふとソースコードを振り返ってみると、青ざめることがよくあります。
#if 1 /* デバッグコード あとで消す */ 処理A; #endif

解析するとこのコードがあると本当は正しく動かないような気がするのだけれども、実際には存在してもちゃんと動いているように見えるのでそっと蓋をして封印する…。(ホントはそんなことしちゃダメだけど…)
これがいつか、何かの形で大きな問題となりバグ報告されるのではないかと、不安で夜も眠れなくなります。
5.納期に間に合わないかもしれない不安
SEの仕事は納期命です。納期を守れないSEは必要とされません。
納期に間に合わせるためなら残業・休日出勤もして『働かせホーダイ』な状態になっていきます。
納期に間に合わなければどうなってしまうのか?お客さんからも上司からもこっぴどく怒られます。納期に間に合う間に合わない以前に、そもそも計画していた日程が遅延していても怒られます。
SEの仕事というのは作業進捗が見えづらいです。たとえば、100の仕事があったとき、明確にどこまでの作業を1とするか、ということを表現することができません。
資料作成なら最初の予想で100ページとすれば、1ページで1%の進捗とすることができますが、ページによって重みは違うし、そもそも想定どおり100ページぴったりで終わるとも限りません。
自分の作業が進んでいるのか?遅れているのか?わからない不安と、そもそもこのまま進めていって納期に間に合うのかどうなのか?という不安を抱えながらSEを続けていきます。
6.うつ病になる素質がある
これが最後の極めつけなのですが、SEでうつ病になるという人は、うつ病になる素質を持っているということです。
ここまで記載したようなメンタルを潰すような環境に置かれているのはみんな同じです。それでもうつ病になる人とならない人で分かれる理由は、うつ病になる素質があるかどうかというのが関わっています。
- 完璧主義。
- 一人で抱え込んでしまうタイプ。
ネット上では完璧主義者のほうがSEに向いていると言われることもありますが、ウソです。SEの仕事にミス・バグはつきものであり、完璧を目指しても完璧にはなりません。
そしていつの日か、完璧にこなすことができない仕事に対して、完璧主義者は自分の理想と現実のギャップにメンタルを破壊されるでしょう。自分のミスを受け入れ、許容していくタイプのほうがSE向きです。
かといって、仕事が満足にできないタイプもうつ病になる素質ありです。
SEの仕事はある程度のセンスが必要なため、センスのない人だと10年間努力してもプログラミングが全くできないという人もいます。
仕事ができないという悩みは相談しづらいものです。誰にも相談できず、一人で思い悩んでしまうようなタイプだとストレスは溜まる一方ですので、メンタルは壊しやすいでしょう。
SEでうつ病にならないためには…
SEでうつ病を発症させないためには、

という気持ちでいることです。
クズっぽいことを言ってしまって申し訳ないのですが、これが10年間SEをやってきたわたしの本音です。

SEをやるにはプログラミングといった技術的なスキルが大切ですが、SEを続けるためには自分を守るためのスキルが必要なんです。
どんなに優れたSEでも、自分を守ることができないSEはいつか退職・転職していきます。
まとめ
- SEの仕事にミス・バグは必然
- ミス・バグを出すと自信を無くす。
- 自信をなくせばモチベーションも上がらずパフォーマンスも出ない。やりがいもない。無気力になっていく。
- ミス・バグを出せば周りからは白い目で見られる。
- ミス・バグが怖くなり、休日明けが怖くなる。土日も満足に休めない。
- 自分の行いで会社を倒産させてしまうのではないかというプレッシャー。
- 納期に間に合わないかもしれない不安。
- しかし、SEはみんな同じ環境下にいる。最後の決めてはうつ病の素質があるかどうかということ。
わたしは今までに何人もうつ病になってしまったSEを見てきました。

そんな不安を抱えながらSEの仕事を続けています。せめてわたしが若ければ…入社してから3年以内に異業種・異業界への転職を決断できれいば…と後悔することもあります。
一度うつ病を発症すると長い付き合いになります。今まで見てきた中では完治したという人は見たことがありません。10年…20年かければ完治するのかもしれませんが、大きなハンデを背負うことになります。
一度良くなってもすぐまた休職したり。がんばってみたもののやっぱりダメで退職したり。うつ病で退職すると、他の職業でも満足に働くことができず苦労している人が多いです。
わたしから言えることは、『絶対にうつ病にはなるな!』ということです。自信がないのであれば、早い段階で足を洗ってしまったほうが良いでしょう。