SEの仕事が辛いと感じた時には頭の中に転職という言葉がよぎります。
わたしも10年以上SEを続けていますが、未だにSEの仕事が辛いと感じることは多いです。
35歳という年齢を過ぎ転職がむずかしい年齢になっているというのに転職したいと考えることもたくさんあります。
SEの転職に関しては異業種・異業界への転職はむずかしい、IT業界内にすべきだ、SEを続けるべきだ、など、いろんなことが言われます。
今回はわたしなりに幸せになれる転職について少し書かせていただきます。

SEの仕事が辛いと思った時の転職方法
SEが辛いと思ったら転職なのか?
転職についてはよく下記のように言われることがあります。
- 少なくとも3年は続けろ。
- 辛いと感じるのはスキルが足りないからだ。
- 勉強はしたのか?努力が足りないのだ。
わたし個人としましてはSEの仕事が辛いと感じるなら3年も続ける必要はないと考えています。
SEという職業は他の一般的な職業と比べればかなり特殊です。
- プログラミングスキルが高度である。
- 高度なスキルであるプログラミングができるだけでは不足。規格・仕様まで理解しなければならない。
- どんなに上級のSEでもバグというミスを何度も繰り返してしまう。
- バグの発生で日程も人の人生も狂う。
SEの仕事には常にミスがつきものです。バグだけではなく、規格や仕様の解釈ミスもあります。バグ・ミスが発生すると人には迷惑かけるし責められるので精神的にダメージがあるのですが、どうしても切り離せないため『耐える』しかないのです。
誰にでも耐えられることではありません。これはどんなにスキルを高めても回避できない問題であり、スキルはスキルでもスルースキルを高める、『すべて他人事』ぐらいの気持ちで仕事ができなければならないのです。
はっきり言って、これができないならSEには向いていないので転職を検討したほうが良いでしょう。
若手なら異業種・異業界への転職はアリ
よくネット上では、

などと言われているのを見かけます。
これはわたしの実体験をもとに言えることですが、それはウソです。正しくは下記の要素によります。
- 年齢
- 退職理由
- 志望動機
退職理由が残業が多い、仕事がむずかしい、とか、ネガティブなものだったり、志望動機が大企業だから、安定がほしい、のような守りの姿勢であるのは論外です。せめて、『御社で働かなければならない』理由を答えられるようにする必要はあります。
それよりも重要なのが年齢です。社会人として何年目なのか。
わたしは新卒でSEになったのですが、1年目で辞めていった同期がたくさんいます。同期以外にも、わたしの学生時代の友人だって1年目で辞めた人がたくさんいます。
要は、それだけSEという仕事は『人を選ぶ』ということなんです。人を選ぶ仕事だというのに適正がないと感じながらも、なんの根拠もなく3年続けるのは無駄であるとしか思いません。
新卒で入社して3年以内の転職であれば、退職理由と志望動機がしっかりしていれば異業種・異業界への転職も十分可能です。実際にわたしの友人のSEの多くは異業種・異業界へ転職していきました。全く不可能な話ではないのです。
1年目でSEを辞めて異業種・異業界へ転職した人たちは、
- 一般事務職
- 自動車関係
- 縁結び関係
- 配送関係
- 放送関係
などなど。他にもいますが、グレードの低い転職をしてまった人もいます。だいたいそういう人はハローワークを使うなどして転職活動をした人です。転職活動で失敗しないためにリクルートやマイナビなどの転職サイト・転職エージェントを利用したほうが良いでしょう。
若手でもまだITに興味があるならIT業界内
わたしの経験上、異業種・異業界へ転職するSEは多かったと感じていますが、IT業界内で転職をした人も多くいます。割合にすればだいたい50%です。
要は、SEから転職をする人はSEの仕事が嫌になっている人が多いので異業種・異業界へ転職する、ということです。
- ITはITでももっと違う仕事がしたい。
- 組み込みじゃなくてアプリケーション作りたい。
- これからのITはwebだ!
- 先輩の給料聞いて絶望した…。
などなど。IT業界に恨みはないのでSEを続けていきたいという人も多いです。ちなみにわたしもそのタイプ。IT業界においてSEは人材が不足しています。30年~40年後の将来を考えても仕事がなくなるということはまずないでしょう。国がプログラミングを義務教育にするぐらいですからね。
SEのIT業界内の転職であればわりと簡単です。社会人3年以内であればIT業界内のどこへでも転職はできるでしょう。
- 組み込み系からweb系へ
- アプリ系から社内SEへ
若手SEの場合はまだ実務経験が問われません。ある程度の経験を積んでいくと実務経験が問われるようになります。IT業界内でも組み込みだったら組み込みというように、転職の幅が狭くなっていきます。これは若いSEの特権と言えるでしょう。
3年を超えてくるとIT業界内での転職がおすすめ
逆に、SEとしての経験が3年を超えてくると、だんだん異業種・異業界への転職はむずかしくなります。それぐらいの年数になってくると、企業は中途採用に即戦力を求めるようになります。
何を持ってして即戦力となるか?それは保有するスキル・実務経験です。即戦力が欲しいのに実務経験がないという人は門前払いとなります。

というのであれば未経験としての採用となり…お給料がダウンする傾向にあります。
最初はお金よりもやりがいだ、という気持ちで転職する人もいるのですが、結局は給料に不満が出てまた転職するというケースが多いように感じます。
わたしの友人にはSEとして3年以上働いた後、異業種・異業界に転職したものの、給料などの労働条件が悪かったため、ふたたびもといた会社のSEに土下座して戻してもらったという人もいます。
SEの仕事に慣れてきているというのもあるのですが、3年を超えてくると他の仕事に馴染みにくくなってしまいます。
異業種・異業界への転職は未経験としての採用になります。同じ年齢の人はもう一人前、でも自分は年齢はあるのに新人と同じレベル。このギャップが辛いと感じる人が多いようです。
どの業界でも言えることですが、3年も同じ仕事をしていれば一人前と言えるのに近いぐらいの力量になります。
できることなら、キャリアを活かした転職をすべき。IT業界内での転職を検討すべきでしょう。
30歳あたりから転職がむずかしくなりはじめる
これだけは知っておいて欲しいのですが、転職は30歳あたりからむずかしくなりはじめます。
SEにはよく下記のような都市伝説がささやかれます。
- SE、35歳定年説
これはわたしが実際にSEを10年続けてみてよくわかりました。完全にウソだということが。

企業は正社員を将来的には幹部職にさせるつもりで採用します。今、どこかの会社で働いているあなたも、会社側としては幹部職させたいと考えていて、そのプランも用意されています。35歳までが労働力、35歳以上は経営側に回っていくものです。
出世コースには乗っかるのもではありません。最初から乗っかっていて、みんなどんどん出世コースから外れていくんです。最後まで出世コースに残った数名が会社を運営する幹部職となるのです。
SEという職業は、
- 論理的な思考が可能な頭の回転スピード
- 突発的な残業・休日出勤に耐えられる丈夫な肉体
が必要です。これができるのがだいたい35歳までです。そして35歳以上はプロジェクトリーダー・マネージャ、幹部職になっていくんです。
たしかにそういう意味ではSEは35歳で定年です。みんなキャリアアップしていきます。これが現実なんです。
つまり、逆に言うとSEは35歳以上での転職はもうないと思っていたほうが良いということです。それ以上はプロジェクトリーダー・マネージャ、幹部職としての転職になります。
このような『ディレクション(作業指示)』のポジションにある人の転職を『エグゼクティブ転職』なんて呼んだりもしますが…成功例は聞いたことがありません。
ゆえに、転職は30歳~35歳あたりが限界であり、早い段階でSEとしての適正がないと思ったのなら早めに転職を決断してしまったほうが良いです。遅くなればなるほど選択肢が少なくなるだけですので。

まとめ
- SEの仕事が辛いと思ったのなら転職を検討したほうが良い。
- 3年続けるは根拠がない。
- SEの仕事は特殊、適正がない人も多いし、仕事が人を選ぶ。
- 異業種・異業界へ転職した人はたくさんいる。全体の50%ぐらい。
- 3年以内なら異業種・異業界でもIT業界内でも、どこでもいける。
- 3年過ぎると実務経験が問われはじめて選択肢は狭まる。
- 30歳~35歳になると転職はむずかしい、またはもうできない年齢。
わたしが伝えたいのは、SEの仕事が辛くて転職したいと思っているのに、我慢して続けてしまうタイプは危険だということです。
これはわたしにも言えることですが、辛いと思っている仕事を何十年も続けることほど不幸な人生はないです。人生の大半は仕事をすることになります。仕事を楽しい、やりがいがあると思えないのは不幸です。
わたしもSEの仕事は辛いと思っていることがほぼ毎日のようにありますが、最新のIT技術のことを知るのは好きですし、物を作る仕事というのが社会の歯車となって動かしているという実感があり、やりがいを感じられています。
かろうじてSEを続けられていますが、生まれ変わったらきっとSEはやってませんね。