SEをやっている人で異業種・異業界に転職したいと願う人は多いと思います。
わたしも10年以上SEをやっていますが、今でもソフトウェア開発から足を洗って事務職に転職したいと考えています。
10年もSEやっているのにまだこんなことを考えてしまうっていうぐらいSEの仕事は過酷な面があるんですよね。
- 上司・お客さんからの圧力。
- バグによる会社へ損害を与えてしまう心配。
- 仕事量が多くて残業・休日出勤…身体がきつい。
悩みだらけです。そりゃ10年経ってもSE辞めたいって思いますよ。
転職したい…というよりは、SE辞めたい、なんですよね。アプリ屋さんからweb屋さんになりたいとか、そういう話ではなくSEそのものを辞めたい。

と思われるかもしれませんが、そう簡単な話ではないんですよね。

SEの異業種・異業界への転職がむずかしい理由
異業種・異業界への転職は未経験採用となる
SEの場合、異業種・異業界への転職は高い確率で未経験採用となります。その理由としましては、ITスキルというものは異業種・異業界では転用しにくいのです。
たとえば、営業や販売の仕事であれば実績によって異業界への転職は可能でしょう。ですが、SEという職業はまだまだ歴史も浅く、IT業界内でしか基本的にはキャリアを活かすことができません。
強いて挙げるならば社内SEです。社内SEはどんな業界でも数名はいますし、業種としてはSEというよりは事務職の延長にあります。
社会人としての経験が3年以上の場合、企業は即戦力を求める
社会人として3年以上経過している人には、企業は即戦力を求めます。
どれだけあなたが、

と言ったとしても、企業はあまり良い顔はしないはずです。社会人3年目となると、たいていの人はその分野において一人前になりつつあります。
先輩や上司からの指示があれば、少なくとも指示通りの仕事は一人で作業できるようになっています。
作業指示をしなければならないものの、先輩・上司の手から離れるというのは非常に助かるものです。
企業は管理職・幹部職だけが欲しい
よく出世コースに乗っただの乗らないだのという話を聞きますが、実はこの認識は間違いで、正社員で入社した人はほぼ例外なく最初から出世コースに乗っています。
出世コースに乗るというよりは、年齢を重ねることで徐々にみんな出世コースから外れていき、残った人だけが幹部職になるというイメージです。
正社員はすべからく幹部職にさせることを前提として雇っているのですが、ある程度の年齢を重ねてしまっている中途採用の人だと、幹部職へのキャリアプランを描くことができなくなってしまいます。
たとえば、大卒でSEになった人なら下記のようなキャリアプランが王道です。
- 23歳~30歳:テスター・SE
- 30歳~35歳:プロジェクトリーダー
- 35歳~40歳:プロジェクトマネージャ
あくまでもざっくりとした例です。よくSEは35歳で定年だ、なんて言われますが、その正体は30~35歳あたりでプロジェクトリーダーやマネージャなどキャリアアップしていくためです。
上述しましたように、キャリアプランというのは年齢から逆算して決まるところがあります。つまり、年齢が高い人、かつ、経験が少ない人だと、管理職・幹部職にするためのキャリアプランが描けなくなってしまうのです。
企業が本当に欲しい人材というのは会社を回す人、管理職や幹部職です。中途採用で管理職や幹部職になれないとわかっている人はほぼ100%といっていいほど採用しません。
ゆえに、未経験者、かつ、ある程度の年齢があると転職がむずかしいのです。SEが異業種・異業界に転職するなら3年が限界です。

SEの異業種・異業界、転職後の苦労
同年代は一人前…自分は新人レベル
未経験採用のつらいところは、同年代の人が一人前に仕事をこなしているのに、自分は新人レベルであるというところです。
転職というのは大変です。慣れない環境でわからない仕事も多いです。わたしは以前、客先常駐の派遣SEをやってきましたが、職場が変わるとまた最初から勉強しなおしになります。同じ職場でもプロジェクトが変わるというだけでも勉強しなおしです。
業界も職種も、すべてが変わるのですから、当然仕事なんて一切できません。新人レベルです。強いて言うならビジネスマナーが少しわかるくらい。
わたしの友人にも異業種・異業界へ転職した人がいますが、やはり最初のうちは苦労していたようです。
ただそれでも、SEが嫌で嫌で仕方がなかったので、SEから抜け出せたことに満足していてがんばることができていました。
年収ダウンの覚悟
わたしの友人で異業種・異業界へ転職した人の感想としましては、耐え難いのは年収が下がるということのようです。
SEという職業は世間一般の職業と比較すれば年収は高いほうです。
SEはほぼ人件費のみで何百万、何千万というソフトウェアを開発できますので、ITという事業は利益率が非常に高いのです。年収が高くなるのも必然…もらっている側としてはまだまだ安いぐらいだと思っています。
ですが、異業種・異業界の場合は30歳半ばにしても年収が400万円台というのはざらです。SEならば少なくとも500万円台、リーダーになっていれば600万円台です。(これより低いSEは早めに転職したほうが良いです。)
また、SEは残業も多く、一般的な平社員SEでも年収600万円に届くということもあります。わたしは専門学校卒で30歳半ば、年収は600万円あります。この学歴・年齢で600万円もらえれば上出来ですよね。
若い内は年収が少なくても劣等感を感じる程度で済むのですが、30歳前後から結婚を考えたり、結婚したり、子供ができたりで、生活がかかってきます。
どの業界においても同じことが言えるのですが、基本的にずっと平社員のままでいるということは許されません。どこかで昇格・昇進をしなければならないんです。IT以外の企業の年収が低かったとしても、課長や部長になれば十分生活できる給料はもらえるでしょう。

まとめ
- SEが異業種・異業界へ転職すると未経験採用として扱われる。
- 未経験採用はキャリアをリセットする、ゼロからのスタートとなる。
- 年収は下がるし無能社員扱いされる時期もある。
- 企業は管理職・幹部職以外は求めていない。年齢の高い未経験者は転職の選択肢が狭くなる。
- 転職するなら早いほうが良い。
よく『3年続けろ』とは言いますが、あれはウソです。古い伝統を受け継いでいるだけでしょう。
時代は変化するものです。今の時代に3年も続ければ、少なくともSEの場合は異業種・異業界への転職という選択肢は消えるでしょう。
わたしは『3年続けろ』や『努力が足りないだけ』という言葉を信じ、辛いことに耐え続けながら勉強をして情報処理の国家資格まで取得しました。
その結果、1人で満足に仕事をこなせるようにはなりましたが、才能・センスがないため每日バグを出しながら、傷つきながら仕事をしています。
やりがいは感じているものの、仕事に対する満足度は低く幸福な人生とは言えません。

10年SEを続けてみて、後悔ばかりです。年収が良い…というか、生活には困らないぐらいというのがせめてもの救いですかね。今はとにかく、うつ病などにならないよう自分を守ることを優先してSEの仕事をやっています。
この記事を読むあなたがどんな選択をするにせよ、わたしに後悔だけはしないようにしてください。