SEの仕事はよくブラックであると言われます。
- 長時間残業
- サービス残業
- 休日出勤
- 過労、うつ病
わたしの体感としましては、IT業界におけるブラック企業というのは言うほど多くはないということです。
ですが、わたしが勤めていた会社はブラック企業でした。
ブラック企業に入ってしまうとどうなるのか?今回はブラック企業で働いていたわたしの体験談です。

ブラック企業の体験談
1.長時間残業が当たり前
ブラック企業の条件の1つと言えるのが『長時間残業』です。
SEの仕事に限らず、どんな仕事でも残業はあります。残業が全くないという会社はおそらくほとんどないでしょう。
ですが、SEはどちらかといえば残業は多めです。その理由は、バグの発生など予定外の突発的作業がしばしば発生するためです。
日程を守るためには、一時的に負荷を上げて対処しなければならないときがあります。そして、SEの仕事はバグがよく発生する仕事です。
おのずと長時間残業になってしまいがちなのですが、ホワイトな企業の場合は増員することで1人に負荷が集中しないように配慮してくれます。
ところが、ブラック企業の場合は増員という手間やお金のかかる対処はせず、1人の負荷を極限まで高めていきます。

労働基準法なんておかまいなしです。平気で法律をぶっちぎります。
一ヶ月あたりの残業時間がどれくらいかというと、80~100時間、これが毎月続いたらブラックですね。
2.残業代カット!?サービス残業がある
なぜブラック企業は違法行為ができるのか?その理由はサービス残業するからです。

そう、サービス残業も違法なんです。ですが、ブラック企業の場合は残業を残業として認めないんです。
80時間の残業をしたとしても、

という具合に丸め込まれてしまうのです。
みなし残業といって、給料にあらかじめ残業時間がある程度組み込まれているという『テイ』です。
わたしは多くの会社に客先常駐のSEとして派遣されてきました。派遣先の正社員と仲良くなってお給料の話を聞かせてもらっていたのですが、みなし残業なんていう会社は自分以外のところでは聞いたことがありません。
みなし残業のIT企業はブラックである可能性が高いです。
3.MAX20連勤という偉業
こちらも完全に36協定無視です。36協定によると、9連勤以上は禁止されています。9連勤を思いっきりオーバーランして20連勤です。

さすがに休み無しでぶっ通しの20連勤は精神的にダメージが来て発狂しそうでした。20連勤の間も22時に帰宅するなどMAX残業でしたからね。
普通の会社なら多くても9連勤までです。それ以上させられるのはブラック企業です。
4.がんばったのにボーナスカット…
わたしは長時間残業したり休日出勤で連勤しているのに、ボーナスカットされたことがありました。
わたしは客先常駐の派遣SEでしたので、ボーナス時期になると周りの人がそわそわと浮かれているのが感じ取れます。
仲のいい派遣先の正社員の人から、

なんて聞かれます。
わたしは派遣ですので、派遣先の正社員と比べると一回り年収が低いです。具体的な金額を聞いてこないので悪気があって聞いたわけではないと思うのですが…わたしの派遣元のブラック会社はボーナスカットでした。


正社員の方も察してくれたようでそれ以上は聞いてきませんでしたが、すごく惨めな思いをしたのを覚えています。
ブラック企業は小規模で人も少なく簡単に経営が傾いたりします。わたしはどちらかというと稼ぎ頭のほうだったのですが、稼げていないSEもたくさんいて穴を補填するためにボーナスがカットされました。

5.昇給すると降給する仕組み
わたしが以前勤めていたブラック企業では年に一回の昇給がありました。
- 年数による昇給
- 実績による昇給
IT企業は上記2つの評価基準を設けているところが多いです。
2つの評価基準があったのですが、実際は年数による昇給の1つだけです。実績による昇給というのは飾りで、いつもナンクセつけられて昇給させてもらえません。
どんなに良い成果を出しても、

わたしは一度も実績によって昇給したことがありませんでした。『実績による評価』というのは非常に曖昧です。
転職などで会社を選ぶときは、年数で昇給するところを選びましょう。年齢は確実に数字として出てきますからね。
わたしは1年に1回、ひとつ歳を取ると1,000円の昇給がありました。

定年まで40年働くとしても、4万円しか昇給しないのです。普通の会社ならプロジェクトリーダー、マネージャ、幹部職といったキャリアアップで大幅に昇給しますが、客先常駐のSEは派遣ですので役職に付ける可能性はゼロに等しいです。
そして、1年かけて1,000円昇給させても、

とか、ホントかよ?と思うような会社の都合の良い言い訳で1,000円給料を下げられます。
結果的に、わたしが弱小SIerに勤めていた時は一切昇給はなく、基本給以外には残業代だけでお金を稼いでいました。そしてその残業代も100%は支払われなかったのです。
6.正社員なのに派遣社員という矛盾
上述していますが、わたしは客先常駐のSEでした。客先常駐と言うとなんとなく聞こえは良い?いかにも『SEやってます!』という感じなのですが、実際はただの派遣社員です。客先常駐SE = 派遣社員、これは間違いないです。
客先常駐には2パターンあります。
- お客さんの抱える問題解決のための出向。
- お客さんの人手不足を解消するための労働力として派遣。
前者はまだ健全ですが、後者は悪質です。雇用形態が違うだけで扱いは完全に派遣社員と同じです。とはいえ、前者も進んでやるべきではありませんが。
多くの人は正社員に憧れて正社員を目指します。ゆえに、登録制の派遣会社ではSEを集めることはできません。企業は多少コストはかかっても、正社員としてSEを迎え入れて派遣させたほうが効率が良いのです。
派遣社員と同じ扱いですので、プロジェクトリーダーになるといったキャリアアップはありません。企業にとって客先常駐SEは社員ではなく労働力というベネフィットを持った商品でしかないんです。

いいえ、なれません。もっと言えば、派遣元企業の事務職、経営側に回る可能性も低いです。
わたしは現在、派遣社員を使う側にもいますが、派遣切りにあってガチで泣いている40~50代のおじさんたちを見てきました。
派遣先が見つからず派遣元企業すら解雇され、派遣会社を転々としている人も見てきました。
請け負いでも客先常駐でも、下流のSIerに勤めるSEの結末にはバッドエンドしかありません。
若うちは経験を積むという意味では上流でも下流でもSIerという選択はアリです。ですが、SIerは一生勤める会社ではありません。少なくとも30歳になる前には転職しておいたほうが良いです。
まとめ
- 長時間残業が当たり前。
- たくさん残業してもフルにお金が支払われない。
- 違法な連勤もさせられる。
- がんばったのにボーナスカット…。
- 昇給しても降給する。
- 正社員で雇用されたのに派遣社員と同じ扱い。
ブラック企業に勤めてい時代は本当に地獄でした。
わたしは専門学校卒なので学歴が高いとは言えません。良い企業、ホワイト企業にはいい大学を出ていないと入れないのだとばかり思っていました。
自分には学歴や高いスキルがない。だから給料が低いしブラック企業で働いているんだと思いこんでいました。
そうではありません。企業はスキルや学歴だけではなく、どちらかというと実務経験のほうを重視しています。さらに言うと志望動機です。
ブラックな底辺SIerに勤めていたとしても、派遣先に大手企業が含まれていることもあるかもしれません。そういった実務経験が評価されます。
また、就職・転職活動においても『下手な鉄砲数撃ちゃ当たる』ではなく、応募先企業をしっかりリサーチして、『御社で働く理由がある!』ということをアピールすれば高い確率で良い企業から内定をいただけます。
とにかく卑屈になるな。ブラック企業を体験し、転職して割りとうまく生活できているわたしから言えることです。