
マンガや映画、ドラマなどではたまによく見かけるセリフです。
実際にそんなことを言って会社辞める人なんているの?と思っていたのですが、実際にそう言って辞めていった人がいました。
『こんな会社こっちから辞めてやる!』は、会社に対して不満があり、怒りを上司にぶつける形で退職するシーンが目に浮かびます。
わたしの身近で実際に起こった、わたしの先輩の話です。やはり同じで上司に不満をぶつけて辞めていきました。
今回は『こんな会社こっちから辞めてやる!』と言って辞めていった私の先輩のお話です。

怒りの感情で会社を辞めた結果
『こんな会社こっちから辞めてやる!』と思った理由
わたしの先輩は当時プロジェクトリーダーをやっていました。
プロジェクトリーダーというのは一般的なプログラマーやSEよりも大変なお仕事です。
プログラミングや設計をやらなかったり、ソフトウェア開発特有の苦しみから解放されるようなイメージがあるのですが、また別のストレスがあります。
- 部下のミスはプロジェクトリーダーの責任。
- 自分の部下は思った通りに動いてくれない。
- そもそも仕事しない部下がいる。
- 部下から不平不満があがってくる。
- 上司から圧力をかけられる。
要はプロジェクトリーダーは上司と部下の板挟み状態で辛いってことです。
今、わたしもプロジェクトリーダーをやったりするので、当時先輩が感じていたような板挟み状態の辛さを理解できます。
板挟み状態の辛さは『理不尽である』の一言に付きます。
- 自分自身は一生懸命やっているのに、部下が思ったとおりに動かない。
- 部下が動かない結果、仕事が進まないのに上司から責められる…。
『こんな状況にさせたのはお前(上司)だろ!?』という気持ちから『こんな会社こっちから辞めてやる!』と変わっていったのでした。
怒りを上司にありったけの怒りをぶつけてみた結果
事件は突然起きました。
先輩と上司が言い争っているのは何度か見かけていたのですが、その時はいつもよりもテンションが高め。そして聞こえてきたのです。

…といって、先輩はそのまま帰宅しました。
社内は一瞬固まっていましたが、ヒソヒソとした話し声が聞こえつつも、割りとすぐにみんな仕事に戻ります。
会社辞めてやる!と怒鳴り散らした数日後…
先輩が会社を抜け出した日から2日程度、無断欠勤が続きました。

と思い始めたころ、先輩が出社してきたのです!
…どんな顔して出社するんだろう?とは思っていましたが、何事もなかったようなテイで出社してきました。
周りも少し動揺しつつも、何事もなかったかのように接してあげています。
…ですが、今思えばこれがよくなかったのかもしれませんね。
- しっかり決着ついていないのに。
- 周りの人の優しさ・気遣い
これらが先輩を余計に追い詰めたのかもしれません。
復帰したが会社に居づらい
ある程度ガマンすれば乗り越えられたのかもしれませんが、先輩は事件発生してからというもの会社に居づらくなってしまったようです。
周りの人たちは気をつかってあげていました。上司のほうも先輩にはやわらかく接するようになりました。
…上司にとって、自分の部下が会社辞めると評価が落ちることがありますからね。
先輩は周りの優しが辛かったのか、心の中では転職をずっと考えていたのだと思います。
避けられなかった退職
事件発生から1ヶ月後に退職を決意し、2ヶ月後に退職となりました。
退職のときのあいさつでは、事件のことについては触れていませんでしたが…

という感じです。ですが、周りの人も大人ですのであえて傷口を掘り返すようなことはしません。
転職活動
わたしは先輩と仲がそこそこ良かったため、その後の転職活動についても聞かせてもらいました。
会社を辞めてからの転職活動であったため、時間が十分に使える状況で転職活動ができるのでやりやすかったようです。
その一方、
- 収入源が途絶えている。
- 次の仕事が見つかる保証はない。
という不安を抱えながらの転職活動でもあったようです。
わたしの感覚としましては、プロジェクトリーダー経験のあるSEなので、年齢が30歳を超えていなければ仕事が見つからないということはないはずです。
プロジェクトリーダーからふたたびSEへ転職
- プロジェクトを成功させられなかったリーダー。
- リーダーはこりごり…。
- 技術職であるSEとして働きたい。
ざんねんながら、先輩の転職は志の高い転職ではありませんでした。プロジェクトリーダーの経験を活かしての転職であれば、年収600万円以上は十分狙えたと思います。
ですが、そこは人それぞれです。先輩は一度ソフトウェア開発に戻りたかったという理由から、プロジェクトリーダーを辞めてしまいました。
『こんな会社こっちから辞めてやる!』と言って辞める人は、エンジニアとしてもリーダーとしても、平均以上の実力のある人だけに許される発言でしょう。
ごく普通の、平均的な力量しかない人が言ったところで良い転職先は見つからないし、最悪の場合は途方に暮れてしまうでしょう。

まとめ
- 『こんな会社こっちから辞めてやる!』は怒りが理由の転職。
- 転職理由が怒りだと志の高い転職とはならない。
- おのずとグレードダウンな転職になってしまいがち。
怒りの感情に任せた転職はすべきではありませんね。準備もできていない行き当たりばったりの転職になってしまいます。
また、怒りをしっかり制御できていないというのも人としての未熟さが伺えます。わたしも仕事をしている時に頭にくることなんて毎日のようにありますが、ぐっとこらえています。みんな何かしらガマンしているんですよね。
ガマンできない、自分自身を制御できない人はグレードの下がる転職となっても仕方のないことです。
わたし個人としては、時にはグレードを下げる転職をするのもアリだとは思います。そうすることで積める経験もあるからです。
ただし、転職できる回数と年齢には限度があるということだけは覚えておいてほしいです。わたしの経験上、転職できる回数と年齢は、
- 転職回数は3回まで。
- 転職できる年齢は30歳まで。
これを超えてしまうと一生派遣社員で転々とする人生を送ることになるでしょう。
転職できる年齢については35歳までいけるかもしれませんが、30~35歳の転職はかなりキツイです。理由は、企業は社員を管理職・幹部職にしたい、だけど年齢が30~35歳を過ぎていると逆算してキャリアパスが描けないためです。ゆえに門前払いであり、内定もらえるところは派遣といった単純な労働力としての採用となります。
ちなみに先輩は、その後ふたたびプロジェクトリーダー、そしてプロジェクトマネージャへと昇進し、お給料もアップして幸せになれたようです。
転職前の会社のままではきっと行き止まりだったと思います。一度転職して環境を変えて自分自身を見つめ直した結果、良い結果を得られたのだと思います。