SEの仕事をしてみたい、またはSEやってるんだけど転職したい。そういった方の悩みの中に、『ブラック企業に入りたくない』というものがあるでしょう。
SEの仕事はすっかりブラックだということが染み付いてしまっていますが、実際にはそんなことはありません。
わたしは弱小のSIerに勤めていた経験があり、客先常駐の派遣SEとして色んな会社を見てきました。ほとんどの企業がしっかり労働基準法を守っているし、残業代もボーナスも出ています。
ブラック企業なんて1社を除いて他にはありませんでした。

ブラック企業を見分けるのにはコツがあります。今回はわたしの経験をもとに、ブラック企業を見抜くコツを書いてみます。

IT業界のブラック企業の特徴
1.客先常駐のSIerはブラック企業率高め
まず最初に主張させていただきたいことは、

ということです。
すみません。ちょっと大げさに言いました。実は、客先常駐のSIerでもブラックであることは少ないです。それは今わたしが勤めている会社に派遣されているSEを見ているとよくわかります。こちらもちゃんと賃金は支払っているし、遅くまで残業させたり休日出勤させていません。
本当に、今どきのIT企業ではブラックらしいブラックは少ないと思います。
ただし、例外的にわたしが勤めていたような弱小のSIerだとまだブラック企業が存在していると思います。
その理由としては、
- SIerは下請け会社である。
- SIerは人材派遣会社である。
- 基本的に中間マージンを搾取して行きている会社。
- よって、利益率が低い事業となる。
- 利益率が低い、利益が少ない。
- よって、社員にサービス残業やボーナスカットといったしわ寄せが来る。
- 企業規模も小さく、人が集まらない。1人の負荷が高まる。
わたしの経験からして、弱小SIerは本当に辞めたほうが良い、と言うことです。中小のSIerでも、上述したように基本的には中間マージンを搾取しているビジネスですので、そもそも利益率が良いほうではないんです。
SIerに勤めているなら早めに転職は考えたほうが良いでしょう。SIerは終の棲家ではありません。
2.自社製品・自社サービスがない
上述したように、ブラック企業の多くはSIerの中にある、とわたしは思っています。
ゆえに、SIerを避けることがブラック企業回避のための手段なのですが…
- IT業界の6割はSIer
- しかも客先常駐の派遣社員になることも多い
- SIerであることを見抜くのはむずかしい
本当に問題なのが、就職活動・転職活動時にSIerをSIerと見抜くことがむずかしい、ということです。素敵な事業内容に惹かれて就職してみたら、実は派遣だった、なんてことがよくあります。

そう言って転職をした人をわたしは何人も知ってます。
そのように騙されないために見るべき大切なポイントは、
- 自社製品があるか?
- 自社サービスがあるか?
自社製品・自社サービスを作っている・持っている会社はほぼ100%の確率でSIerではありません。
3.アウトソーシングという言葉を使っている
アウトソーシングという言葉はなんとなくかっこよく感じるかもしれませんが、IT業界におけるアウトソーシングが意味することは、『派遣』です。
IT業界には『客先常駐』という言葉がよく使われますが、これの意味には2種類あります。
- 取引先企業でお客さんの抱える問題を解決する。(出向)
- 取引先企業でお客さんと同じ仕事をする。(派遣)
前者はまだ健全ですが、後者は不健全。ただの派遣社員と全く変わりがありません。
正社員としてSEをやっているのに、アウトソーシング・客先常駐などという言葉を使って派遣社員をさせられているのです。お客さんの抱える問題を解決するのではなく、単純な労働力として派遣させられているだけなのです。
派遣先でお客さんと同じ仕事をしているのに、年収が一回りくらい(100万円くらい)違ってきます。
ただし、派遣先がたいてい大手企業だったりするため、経験を積むという意味ではアリかもしれません。わたしも以前は客先常駐のSEでしたが、大手に派遣された経験が買われて転職することができました。
また、アウトソーシングという言葉は派遣の隠れ蓑にされている傾向がありますが、本来は健全なものです。『取引先企業でお客さんの抱える問題を解決する』のもアウトソーシングです。本来の意味はこちらです。
4.会社の規模が小さい割に手がけている分野が広い
IT業界におけるブラックな企業はSIerに多く、SIerの中でも客先常駐タイプのSEがブラックであることが多いです。
客先常駐の会社かどうかを見分けるためには、その会社の事業内容を確認することです。
- 従業員数が100人未満。
- 設計からテスト、保守まで、なんでもできるような事業内容になっている。
- web、アプリ、組み込み、サーバ…などなど、IT業界におけるすべての系統に手を出している。
上記のような条件が当てはまる企業は黄色信号…いや、赤信号です。企業規模が小さいのにそんなにすべてのジャンルに手を出せるはずがないんです。
全体的に言えることは、企業規模が小さいほうがブラックである可能性は高い、ということです。
ITベンチャーに憧れる人も多いかもしれませんが、社内の自浄機能が整っていないことも多く、ブラックになりやすいかもしれません。

まとめ
- 客先常駐のSIerはブラック企業率が高い。
- 自社製品・自社サービスのない会社はSIer。
- アウトソーシングは客先常駐、派遣の隠れ蓑。
- 会社の規模が小さいのにIT業界の全ジャンルこなせる風な言い方してる。
簡単にまとめると、人を派遣させる弱小SIerはブラック、ということです。
わたし個人としてはSIerそのものは悪いと思っていません。むしろ、経験を積んでキャリアアップするには最適と言えるかもしれません。大手企業で経験を積む、というのは、一流大卒か派遣SEしかないでしょう。
実際にそうやってキャリアアップできた人がわたしを含めても何人かいます。
まぁSI企業につとめていたときは地獄でしたけどね。SI企業につとめるなら、いずれ転職すると割り切るべきで、一生つとめる場所ではないと覚えておきましょう。